
Bookso beautiful yet terrific.
クルーウェル先生に頼まれて、私はクラスメイト達のノートを持ってイグニハイド寮を訪ねる。それから談話室にあるテーブルの一つにノートを置いて帰ろうとしたところで、オルトくんに出会した。
「監督生さん!こんにちは!もしかして、クルーウェル先生のお使いで来たの?」
「うん。そう。でも、ちょうど終わったところだよ。他のクラスメイト達のノートはそれぞれの寮に置いてきたから」
「そっか!お疲れ様!」
にこにこと目を細めたオルトくんが私に近づく。オルトくんは何の前触れもなく私に手を伸ばしてきたかと思えば、空いているソファに座るように促した。
「お使いが終わったならいいよね!僕と一緒に、ゲームしようよ」
そう言いながら、オルトくんはソファに座ってしまった私の姿を確認してから自身も私の右隣に座る。それからいつのまにかテーブルの上に用意されていたゲームのコントローラーを手に取ったオルトくんは、談話室内にある大きなスクリーンを起動してゲームの画面を表示した。
「君はどんなゲームが好き?」
「好きと言われても。私、ゲーム音痴だから」
「そうなの?かわいい。それじゃあ、僕が教えてあげるね!」
ぴたりとオルトくんの身体が私にくっつく。私の肩に甘えるように頭を乗せてくるオルトくんの姿に、かわいすぎてキュンとした私は悪くないはずだ。
ちょうどその時、談話室にイデア先輩がやって来る。イデア先輩はぴったりとくっついて一緒にソファに座る私とオルトくんの姿を見つけては固まった。
「え?弟が彼女を寮に連れ込んでいるんだが?ここは不純異性交友禁止と兄ちゃんがビシッと叱るべき?いやいやいや!!!でも、2人を引き離すとオルトがしょんぼりしちゃうのが確定だし。え?拙者どうするべき?どどどどうしよう!!!!!」
「兄さん!今はまだ彼女じゃないよ。だから、兄さんも一緒にゲームやろう!」
「え?やっぱりいつかは彼女にするつもりじゃん」
ちょっと早口で言ってのけるイデア先輩と、いつも通りの口調で爆弾を投下するオルトくんとの会話に、私はつい苦笑いを浮かべてしまう。そんな関係じゃないんだけどなあと思いながら。
「まあ、いいや。まだオルトの彼女じゃないなら遠慮はいらないもんね。それじゃあ、お邪魔しまーす」
開き直ったようにイデア先輩が私の左隣に座る。一瞬、迷った素振りを見せたイデア先輩は、すぐにフヒヒと歯を見せて笑っては私の身体に身を寄せるように座り直した。
「さて。何のゲームする?君が得意なジャンルでいいよ。拙者、負ける気がしませんので」
「僕も兄さんに負ける気がしないよ!」
「そ、そっちの意味!?弟のライバル視がつら」
ふふふと明るく笑うオルトくんと、戸惑いながらも優しく目を細めるイデア先輩に挟まれながら、私はテーブルの上にあるゲームのコントローラーを握った。
いつか、この2人に私が攻略されちゃうのかなあと思いながら。
2023.07.02