
Bookso beautiful yet terrific.
8月14日。ナイトレイブンカレッジはまだ夏休みだった。ほとんどの生徒達は夏休みという長期休みの間は実家に帰っている。そんな中、イデア先輩は実家には帰らずに寮に残っているため、オルトくんもまた帰らずナイトレイブンカレッジにいた。
だから、オルトくんがオンボロ寮を尋ねて来たことには驚かなかった。
「ねえ、今日は何の日か知ってる?」
オルトくんにそう言われるまでは。
オルトくんからの問いに私の表情が強張っていった。正直、今日が何の日か知らない。学校行事?それともイグニハイドでお祭り?或いはイデア先輩が期間中毎日顔を出しているマーケットのこと?と瞬時に考えるけれど、当て嵌まるものが全く思いつかなかった。
「ごめんなさい。あの、」
にこにこ顔のオルトくんに悪いと思いながら私はオルトくんから視線だけを外してしまう。だけど、オルトくんは気にする様子もなく言ってのけた。
「今日は僕の誕生日だよ。だからね。君も、僕の誕生日パーティーに来てくれる?」
オルトくんからの誘いにハッとした私は弾かれたようにオルトくんを見返す。すると、オルトくんはいつのまにか私の側に来ていたらしく至近距離で私の顔を覗き込んでは小首を傾げてみせた。
「ダメ、かなあ?」
子犬のように不安そうな上目遣いで問われて断れるわけがない。というか、友達の誕生日パーティーに参加しない理由なんぞなかった。
「勿論!ぜひ行くよ。あ、でも、プレゼントが、」
返事をしたくせに。肝心なことを思い出して言葉が沈んでいく。たった今まで、今日がオルトくんの誕生日だということを知らなかったので当然何も用意していない。しかし、オルトくんは私の考えなんぞ始めから分かっていたらしく何てことないように言って笑ってみせた。
「プレゼントのことは気にしなくていいよ!もう少し大人になったら貰うから」
オルトくんの言葉に、貰う?何を?と首を傾げるも、オルトくんがふふふと笑ってそれ以上は教えてくれそうになかった。
「さあ!行こう!僕の誕生日パーティーへ!それでね、明日からの残り少ない夏休みを僕と一緒に過ごそうよ」
オルトくんからの唐突のお誘いに私はますます首を傾げたくなった。だけど。オルトくんが嬉しそうだし、まあいいかと私は了承したのだった。
2023.08.19
vacation|女監督生受け版ワンドロワンライ