
Bookso beautiful yet terrific.
本日は、バレンタインデー。本来なら、自分で作ったチョコレート菓子を彼女に贈りたいが、残念ながら俺にはどんなに練習しても上手く作ることができない。ならば、悔やんでも仕方がないので、俺は昔から懇意にしている菓子店でチョコレート菓子を購入した。ワインレッドの包装紙にネイビーのリボンを飾ったラッピングは、落ちついた雰囲気を持つ彼女にぴったりだと思った。
彼女の帰宅を今か今かと待ち望んでいると、数時間経ってようやく彼女が屋敷に現れた。外はすっかり暗くなっているのに、彼女が屋敷に戻って来ただけで、俺の世界が一気に明るくなる気がした。
彼女の部屋へ急いでお連れして、早る気持ちを抑えきれないまま俺は彼女にチョコレート菓子が入った小さな紙袋を手渡した。
「おかえりなさいませ、主様。それと、ハッピーバレンタインデー」
部屋に入るなり、俺から紙袋を受け取った彼女はきょとんと目を丸くした。だけど、自分が受け取った物がチョコレート菓子だと瞬時に理解した彼女は花が綻ぶような笑顔を見せてくれた。
「どうもありがとう!ハウレス」
彼女の笑顔が見れた俺はホッと胸を撫で下ろした。
このチョコレート菓子を贈った意味が、主人への敬愛ではなく特別な女性への恋心だということを、俺はまだ言えずにいる。
2024.02.16