
Bookso beautiful yet terrific.
ねえ、と呼ばれて振り向いたら目の前にイデア先輩がいた。何の前触れもなくされた口づけに、私は驚いて目を開けたままでいるしかできなかった。一方、唇を離したイデア先輩は一瞬だけ視線を泳がしたあと、僅かに下を向く。
「ごめん」
そう呟いたイデア先輩に対して、私は何も返せなかった。
次の日、廊下を歩いていると突然後ろから長い両腕に抱きしめられて身動きが取れなくなった。
「ご、ごめん!その、えっと、」
しどろもどろにそう言いながらも、私を抱きしめて離さないイデア先輩の姿に私はますます疑問に思うしかない。一方、私の疑問なんぞ知らないだろうイデア先輩はこれまた前振れもなく私からパッと離れたかと思えば風のように勢いよく走って何処かへ行ってしまった。
また別の日の放課後、私が1人で図書室へ向かおうとしていると、イデア先輩と出会した。イデア先輩は辺りをキョロキョロと見回しては、私が1人だと確認してホッとしたように肩の力を抜く。それからずんずんと大股で私の目の前に立ち塞がったかと思えば、まっすぐに射抜くように私を見つめてきた。
「君が好きです。僕と、付き合ってください」
色白の頬を真っ赤に染めて、ハッキリと口にするイデア先輩に対して、私は瞬きをする。だけどすぐに、嬉しさに頬が緩んだ。
「はい」
「え?いいの!?」
「告白よりも先に、私にキスとハグをしておいて何を言っているんですか」
「あ。そ、そそそうだよね」
照れたようにヒヒッと笑うイデア先輩につられて、私も笑う。
幸せだなあと、思った瞬間だった。
2024.04.14