
Bookso beautiful yet terrific.
授業中に、お腹に鈍い痛さを感じて嫌な予感をした私は、休み時間になるなり慌ててお手洗いに向かった。案の定、月に1度は必ずやってくる生理が予定より早く来ていた。幸い、下着は汚れず、そろそろ来るだろうと思って常に持ち歩いていた生理用品のおかげでとりあえず色んな意味で助かりホッと息をつく。それから、そーっとお手洗いを出て、生理が来たせいで気分がどんよりとしたまま廊下を歩く。そろそろ次の授業が始まる時間なので急がなければならないのは分かっているが、なんとなく身体が怠く重いせいでどうにも動く気にはなれなかった。
はあとつい溜息を吐いて立ち止まると、同時に目の前に影ができた。誰かに道を遮られたことに気づいた私が、知らず知らずのうちに下に向けていた顔を上げると、私の顔を揃って覗き込むカリム先輩とジャミル先輩と目が合った。
「あ、」
「大丈夫か?すっげー顔色悪いぞ、おまえ」
挨拶しようと口を開けたもののカリム先輩からの言葉に遮られた。私が思わず口篭ると、今度はジャミル先輩が手を伸ばして来た。
「失礼」
何が?と思う間もなく、一言断ってからジャミル先輩の両手が私の膝裏と背中に回されて、そのまま私の身体が宙を舞う。一拍置き、ジャミル先輩にお姫様抱っこされたと気づいた私は慌ててジャミル先輩の胸板を押した。
「あ、あの!だ、大丈夫ですから!」
「大丈夫のはずないだろう。早く医務室に行くぞ。それとも、早退してオンボロ寮へ戻るか?」
「いや、その。大したことないので!」
あわあわと必死に狼狽えながらも断る私の顔をジャミル先輩はじっと見つめてくる。生理が来て体調があんまり良くないだけなので大丈夫です!なんぞ異性に言えるはずもなく、私の顔が熱くなっていくだけだ。
明らかに顔を赤く染まってるだろう私と、ジャミル先輩の隣にいたカリム先輩が目を合わせてはニコッと微笑んだ。
「何も言わなくても大丈夫だぜ!俺達、ちゃんと分かってるから。な?ジャミル?」
「ああ。君は何も気にせず、ゆっくり休むといい」
うんうんと大きく頷いてから、カリム先輩がジャミル先輩に話を振り、ジャミル先輩もまた同意する。
「あ!そうだ!寮に戻る前に、監督生の鞄を教室まで取りに行かないとな」
「俺とカリムの鞄もな」
私に反論する間もくれずに2人で話を進めてしまうので私は余計に口篭るしかない。でも、と俯く私に、ジャミル先輩が穏やかな声で言ってのけた。
「君は俺達のものだ。だから、無理はしないでほしい」
「そうそう!監督生は俺達のものだからな!」
ジャミル先輩だけでなく、カリム先輩までさらりと言ってのける言葉に、私はうーんと首を傾げつつもあまり深く触れず苦笑いを浮かべるしかなかった。2人からの冗談を軽く流して。
「お2人とも、お気遣いいただきありがとうございます」
私の返事にカリム先輩とジャミル先輩が微笑んで、ああとだけ答えた。
ただ、このあと、何故かオンボロ寮には戻らずスカラビア寮に連れて行かれては部屋まで与えられて2人に世話までしてもらう事態になり、私はわけが分からないまま困惑するのだった。
2024.06.09
執着|女監督生受け版ワンドロワンライ