Bookso beautiful yet terrific.

 ある日のことだった。お嬢様が突然俺の元へやって来た。

「八九!今すぐラーメンを食べに行きますわよ!早く支度しなさい!いいですわね?」

え?ラーメン?いや、なんで今?という言葉を全て飲み込んだ俺はすぐにお嬢様に向き直った。

「おう。すぐ行く」

俺の返事にお嬢様は満足そうな表情を浮かべてから踵を返す。一方俺は、段々小さくなるお嬢様の背中を見ながら盛大にガッツポーズした。
 よっしゃあああ!!!これデートじゃん!!!最高じゃんんんん!!!俺にも春が来たあああ!!!
 と、今すぐ叫びたいが我慢しよう。俺は急いでトイレに駆け込み鏡の前を陣取って身形を確認する。少し髪が跳ねていたら手櫛で整え、服に汚れや皺が目立たないか確認する。よし!オッケー!と意気揚々とお嬢様の元へ向かう。
 しかし、である。

「遅いぞ、八九。あの店は行列になると常々言っておるのに」

「在坂は腹が減った。少しでも早く列に並ばねばならない」

お嬢様と一緒にいたのは当然という顔をした邑田と在坂だった。俺は思わず肩を落とす。ですよねー、という言葉は胸の内に留めるしかなかった。

2022.09.22