Bookso beautiful yet terrific.

 ゴーストカメラを持って記録係に勤しむ監督生さんの姿を見つけた。グリムさんが文化部の面々に声をかける中、監督生さんは心ここに在らず状態でゴーストカメラのシャッターを切っている。

「どうしたの、監督生さん。体調悪いの?」

僕の声にも反応しない監督生さんに本当に体調不良なのではないかと思って心配になる。僕は思わず監督生さんの顔を覗き込んだ。

「あ。ごめんなさい、オルトくん。呼んだ?」

僕と目が合った瞬間、監督生さんの表情が引き締まる。だけど、頬も目尻も耳も熱が残っていた。その理由を僕は知っている。

「監督生さん、ゴーストカメラちょっと借りるよ」

監督生さんの手から強引にゴーストカメラを奪い取り、キャンプが始まってからたった今まで撮った写真のデータを見る。やっぱりと思いながら八割くらい埋めつくされているその写真を僕は容赦なく削除した。

「あ!!!」

普段大きな声を出さない監督生さんが声を上げる。僕はゴーストカメラを監督生さんに返しながらむうっと頬を膨らませた。

「バルガス先生の筋肉ばっかり撮るのはダメ!!!」

「酷いよオルトくん。せっかく三角筋に上腕二頭筋が上手に撮れたのに」

ゴーストカメラをしっかりと抱きしめるように持ちながら監督生さんが心底悲しそうに瞼を伏せる。僕は呆れながらも監督生さんに尋ねた。

「僕よりも、バルガス先生の身体がそんなに好き?」

監督生さんが瞼を開ける。じっと僕に視線を合わせたあと、頬を赤く染めたまま言ったのだった。

「あの唸る筋肉、なかなかお目にかかれないもの」

「そこは嘘でも僕を選ぶところだよ!?もう!監督生さんなんか!監督生さんなんかあ!!!」

僕は監督生さんに背中を向ける。そのまま逃げるように勢いよく去った。

「大好きなんだからーーー!!!」

僕の叫び声を聞いた監督生さんは眉を寄せながら首を傾げている。その様子を遠くから眺めていた兄さんが盛大に溜息を吐いたのだった。

2022.09.24