
Bookso beautiful yet terrific.
監督生は中庭で繰り広げられる戦いを呆然と見つめていた。監督生はいくつかあるベンチの一つに座りながら足元で起きている言い争い(?)の成り行きを見守ることしかできない。その監督生の足元でグリムとルチウスはおああ!!!とかシャー!!!とかフシャー!!!とかグルルル!!!とかふなあああ!!!とお互いに何かを叫んでいる。監督生には二匹の言葉なんぞ分からないので何を言い争っているのか分からないが。
そんな取っ組み合いを始めそうな魔獣と猫を遠くから見つめる影が二つあった。一人はめっちゃくちゃにこやかに眺めているルーク。もう一人は呆れ顔で眺めているラギーだ。
監督生は二人の存在に気づき、言い争う猫達を置いてそっとベンチから離れる。それから珍しい組み合わせだと思いながらルークとラギーに声をかけた。
「グリム達、どうして喧嘩しているのか分からないんです。もしかして、動物言語学に精通するお二人なら何を話しているか分かるかと思いまして」
困り顔の監督生にラギーは眉を寄せる。ラギーはまだ争っているグリムとルチウスに視線を向けながら尋ねた。
「グリムくんは何か言ってなかった?猫語じゃなくても普通に監督生くんと話せるッスよね?」
「それが、声をかけても全く耳を貸してくれないんです」
「そういうことなら放っておいた方がいいッスよ」
監督生は意味が分からず首を傾げる。そんな監督生に対して今度はルークが口を開いた。それはそれは楽しそうに。
「あのお二方はね、仁義なき戦いの最中なんだ。だから、邪魔をしてはいけないよ」
「戦うのは別にいいんですけど、取っ組み合いになったら嫌だなあと思って」
「そうなってしまったら仕方がないさ。名誉ある傷を負うことは、私はとても素敵なことだと思うよ」
ラギーとルークに尋ねても解決策は見出せないと監督生は悟った。とりあえず、今は二人が言うように成り行きを見守るしかないのだろう。
「分かりました。しばらくはベンチに座ったまま二匹の様子を見ます」
「それが一番ッスね」
「私も名案だと思うよ」
ラギーとルークが去る中、監督生は未だにシャアシャアと言い争う猫達の元へ戻る。よく分からない状況に困り果てる監督生の姿を振り向いたラギーとルークは遠くからもう一度見た。
「まさか監督生くんの膝の上でどっちが先に昼寝するかで揉めてるなんて本人は思ってもいないんでしょうね」
「ふふふ。魅力的な一人の女性の柔肌を本能のままに取り合うかわいい戦いは見ていて心が踊るよ」
「ルークさんが言うとちっともかわいい戦いに見えなくなるんスけど何故でしょうねえ」
その後、争いが決着つかなかったグリムとルチウスは二匹揃って監督生の膝の上に乗ることになった。
「仕方がないからおめーと一緒に昼寝してやるんだゾ」
グリムがルチウスに話しかけるとルチウスは高らかに鳴いた。監督生は首を傾げつつもとりあえず膝の上にいる二匹の頭を撫でる。その光景を見つけたイデアが指を咥えながら、猫たんもふもふずるいとぶつぶつ恨み言を呟いているなんぞ監督生は知らない。
2022.10.07