
Bookso beautiful yet terrific.
手を握ったまま私達は走る。森を抜けて川を越えて倒木を踏みつけさらに先へ向かう。時折後ろを振り向いてはジョージが絶対高貴でアウトレイジャーを退ける。それを繰り返してようやく一息着いたのは空がすっかり暗くなってからだった。
薄暗くなった視界に湖が見える。私とジョージは息を整えながらその辺に適当に座った。
「マスターは怪我してないか?」
「ジョージのおかげで大丈夫だよ」
それでもジョージは心配が消えないらしく念のためと言いながら私の手に宿る薔薇の傷を絶対高貴で癒す。その代わりに私も念のためと言いながらジョージの身体を治療した。お互いにあたたかい光に包まれたおかげで強張った頬が緩む。私達は繋いだ手を離さないまま、まだそこにいることにした。
月明かりが湖に反射しているおかげで山の中は真っ暗闇にならずに済んでいる。その景色をぼんやりと眺めているとジョージが急に声をあげた。
「ライク・ツー達、俺達がいなくなってびっくりしてるだろうなあ」
笑いながら言ってのけるジョージに私は苦笑いするしかない。
そもそも私とジョージは、マークスとライク・ツーと十手と共に士官学校の郊外へアウトレイジャー討伐に来ていた。その戦闘の最中、逸れてしまったのである。
しかし、ジョージは逸れた位置からだいぶ離れてしまっているのに相変わらずの雰囲気だ。そのおかげで仲間と逸れているのに心配や恐怖を感じず、何とかなるだろうと思えるわけだけど。
「しっかり者のライク・ツーがいれば安心かな」
「HAHA!そうだな!」
どちらからともなく繋がれたままの手に力を込めた。決して離してほしくないと言わんばかりに固く結ばれてた手と手をお互いに構わず会話を続ける。
「なあマスター。この間の授業で恭遠が言ってたんだけど、月って太陽の光のおかげで輝くんだってさ」
私は相槌を打ちながらジョージの肩に頭を乗せる。一方ジョージもそれを待っていたかのように私に寄りかかった。
「じゃあさ。いつか太陽がなくなっちゃったら、月も消えちゃうんだよな」
太陽が消えるのなんて数えきれないくらい先の話だよ。だけど、その言葉は返せなかった。
「今はただ、消えないことを祈ってる」
代わりに口を出た私の言葉にジョージは触れなかった。
「もう少しだけ、休んでから戻ろうぜ」
懇願に近い声音で紡がれた言葉に私は頷いた。お互いにぴったりと身体を寄せ合ったまま、私達はしばらく瞼を閉じてそこにいた。
許されるのなら、ずっと一緒にいられたらいいのに。そう願いながら。
2022.10.14