Bookso beautiful yet terrific.

 任務が終わり士官学校に戻ると在坂が中庭からやって来た。その在坂の両腕の中には大きな花束と一枚の手紙があった。

「マスター、任務から戻ったところなのか。おかえりなさい」

在坂の表情が僅かに和らぐ。在坂の表情につられて私もずっと張っていた肩の力を抜いた。

「ありがとう。ところで、その花束は?」

それと指で示すと在坂は特に表情を変えないまま、ああと口を開いた。

「この手紙と一緒に貰った」

なんてことないように在坂が言うが、私は固まる。明らかに女の子のかわいい文字で紡がれた宛名に私の心に暗い影を落とした。

「綺麗な花束だね」

「マスターもそう思うのか?在坂もだ」

在坂の目尻が下がる。私は在坂に胸中を悟られないように笑ってみせた。

「お返事、きっと楽しみにしていると思うよ」

在坂は自らの腕の中の花束と手紙を見てから頷いた。

「この手紙にどんな内容が書かれているか、在坂は楽しみだ」

私の心の中を知らない在坂は無邪気に言ってのけた。一方私は顔に笑顔を貼りつけたまま思う。
 こうやって簡単に好意を示せる誰かが、妬ましい。

2022.10.18