
Bookso beautiful yet terrific.
10月9日の深夜に彼女と一緒にりゅう座流星群を見た。真っ暗な世界に描かれた星が地上に溢れそうになる光景に彼女の瞳が輝きに満ちていた。だから僕はつい、今日の深夜に天体観測しようとその時に誘った。僕に誘われた彼女は自惚れかもしれないが嬉しそうに見えた。
さて。本日は10月22日。只今の時刻は午前1時。天気は快晴。僕は前回同様にオンボロ寮の前庭にある小さな丘へやって来た。そこには既に望遠鏡を覗き込む彼女の姿があった。
「オリオン座流星群、そろそろでしょうか」
僕が彼女に声をかけると彼女は望遠鏡から視線を外して僕を見る。暗闇でも分かるくらい彼女の吐き出す息が寒さのせいでとても白い。
「りゅう座流星群は確かこの時間に見えましたけど」
彼女が首を捻る。僕は彼女の隣に座り一言断ってから彼女の望遠鏡を覗き込んだ。
「まだのようですね。時間はありますのでゆっくりと待ちましょう」
僕が望遠鏡から顔を上げるとふわりと僕の肩と膝をすっぽりとあたたかい布が覆う。どうやら彼女は約束通りにブランケットを用意してくれたようだ。
「今日は薄着じゃなくて安心しました」
「コートを着て来るようあなたと約束しましたからね」
クスクスとお互いに小声で笑う。いそいそと彼女がブランケットで自身を包む姿を横目に僕は持参した水筒からあたたかいハーブティーを紙コップに淹れて彼女に渡した。お礼を述べながら彼女が紙コップに手を伸ばすと先に紙コップを掴む僕の指先と触れる。たった一瞬だけ彼女と触れただけなのに火傷したみたいに熱を持った。それを気にしないふりをしながら僕はもう一つの紙コップにハーブティーを淹れる。
ちょうど準備が整った頃、夜空に幾千もの光の粒子が流れ始めた。
「アズール先輩!オリオン座流星群も無事にみられましたね」
心底嬉しそうに笑う彼女の姿に僕の頬が熱くなる。
「ええ。これで天体観測が始められます」
感嘆の声を上げてオリオン座流星群に夢中になっている彼女の隣にこっそりと距離を詰めた。ブランケット越しに伝わる彼女の温もりにますます顔が熱い。
どうかこのまま時が止まってしまえばいいのに。柄にもなく星に願った。
2022.10.22