Bookso beautiful yet terrific.

 10月9日の深夜に、僕は彼女と約束した。10月22日の深夜に一緒にオリオン座流星群を見ようと。
 現在の時刻は午前1時。天気は快晴。オンボロ寮の前庭にある小さな丘にはぽつんと望遠鏡だけ置かれていた。僕は白い息を吐き出しながら丘の上に行く。彼女の持ち物だった望遠鏡をそっと覗いた。そこには幾千もの星空が広がっていた。僕が望遠鏡から顔を上げるとちょうどタイミングよくオリオン座流星群が空を駆け巡る。まるで地上に降り注ぐ雨のような光景を僕は黙って眺めていた。きっとこの景色を彼女が見たら彼女の頬も目尻も興奮で赤く色付くのだろうと思う。りゅう座流星群を見つけた時と同じように。
 ふと、僕はオンボロ寮の方へ視線を向ける。オンボロ寮には灯りはついていない。それもそうだ。こんな深夜にグリムさんが起きているわけがない。あるいは、灯りもつけずにベッドに潜り込んでいるのかもしれない。
 僕はふうと長く息を吐いてから、再び星空を見上げる。

「そろそろ始めましょうか。天体観測を」

一人そう口にしてから望遠鏡を覗き込んだ。
 元の世界に帰った監督生さんがこの場所に現れないと知っていても、僕はオリオン座流星群の駆け巡る先をレンズ越しに追いかけた。

2022.10.22