
Bookso beautiful yet terrific.
エースとデュースとグリムと共に監督生はMr.Sのミステリーショップにやって来た。エースとデュースは新商品の、その日の気分で好きな花を咲かせる植木鉢!?という摩訶不思議な物を目を丸くしながら眺めている。一方グリムは監督生が眺めているショーケースの中にある、宝石みたいに輝くアクセサリーとやらを見つめていた。
「これもその日の気分で色が変わるのか?」
「それだけじゃないよ。姿形も変わるのさ。ネックレスにも指輪にもなる」
グリムの疑問に店主であるサムが答える。その言葉に監督生は数回瞬きしながらアクセサリーをもう一度見つめた。
「色々あるんだね」
監督生がショーケースから視線を外して表情を特に変えることなく顔を上げた。
その姿を遠くからちらりと盗み見ていたエースとデュースが揃って自身のズボンの中に手を突っ込み財布を取り出す。エースとデュースに背を向けていたグリムも首から下げていたがまぐち財布の中をそっと覗いた。三者三様に財布の中身を確認してからたった今監督生が眺めていた例のアクセサリーの値段を確認する。その金額、36800マドルなり。マブ達も親分も学生にはかなり痛手な金額に思いっきり眉を寄せる。それから三人とも頭を突き合わせて、いくら持ってる?とお互いに懐事情をこそこそと確認し始めた。
「さて、帰るよ。みんな買い物終わった?」
監督生の言葉に二人と一匹はびくりと肩を震わせる。監督生は様子のおかしい友人達に僅かに眉を寄せた。
監督生の表情に二人と一匹は作戦を練ってからまた後日来ようと決意して財布をしまいながら顔を上げる。それぞれが監督生に足を向けた時だった。
「はい。小鬼ちゃん」
不意に、監督生の背後に立ったサムがすっと監督生の首にネックレスをかける。監督生が首に手をやるとそこには艶やかな光沢を魅せるルビーの宝石のようなペンダントトップがそこにあった。監督生が驚きに満ちた表情で顔を上げるとサムと目が合う。サムは目尻を下げて微笑んでいた。
「よく似合ってるよ」
「いや、これは、」
「俺からのプレゼント」
サムの言葉に監督生は困惑する。このネックレスは先程監督生が眺めていたショーケースの中にある魔法のアクセサリーだ。しかも、安い物ではない。監督生が困り果てる姿を見ていたサムはちらりと監督生のマブ達と親分に視線を向ける。それから再度、監督生と視線を合わせてにっこりと笑った。
「じゃあ、俺と小鬼ちゃんのお友達からのプレゼントってことにしよう。ちなみにお代は、みんなが期末試験で平均点以上の結果を残すということで」
監督生の次に、エースとデュースとグリムに向かってサムは言う。その提案に二人と一匹はお互いに顔を見合わせてから拳をぎゅっと握って力強く返事したのだった。
「ありがとうございます」
監督生がネックレストップに触れながら僅かに頬を緩ませる。表情から心底嬉しそうにしていると理解したサムもまた嬉しそうだった。
そんな監督生とサムの様子を眺めていたエースとデュースとグリムは揃って眉を寄せた。大人の男ってずるいわあと思いながら。
2022.10.29