
Bookso beautiful yet terrific.
だだっ広い図書館の一つである本棚の前に立ち、私は本を開いては再び棚に戻すを繰り返していた。勉強も訓練も大事だけどたまには小説を読んで脳を休ませたいだなんて我が儘だろうか。そう葛藤しつつも本を探す手は止められずにいる。
ふと、私の隣に音もなく現れた彼は私の手の中にある本の表紙に視線を落とすと、あからさまに嫌な顔をしてみせた。
「おまえがファンタジー小説って柄か?」
「柄かどうか分からないけれど。私は結構こういうストーリー好きだよ」
「なんか意外。おまえって、本読むイメージないし。どっちかっつーと腕立て伏せしながらテレビ見てるイメージだわ」
「その言葉、そっくりそのままお返しするよ」
言いながら、私は本をまた棚に戻す。何にしようかと悩む私の顔をじっと見た彼は、次に本棚の端から端を見る。それからすっと手を伸ばしたかと思えば、一冊の本を抜き取って私に手渡した。
「魔法にかけられた王子様をお姫様のキスで助けてやる話だってさ」
「それ、軽いネタバレだよね?」
「とりあえず、それにすれば。んで、読み終わったら教えて」
「ライク・ツーに?どうして?」
「次の本、探しといてやるよ」
私が瞬きを繰り返している間に彼はさっさと歩き去って行く。その手には、私に渡した本とは違うタイトルのファンタジー小説があった。
思わず、私の頬が緩む。貸し出しカウンターに向かう彼の背中を、彼が選んだ本を持ったまま追いかけた。
2022.11.26