「ええ。」 雪と月あかりの中を、汽車はいっしんに走ってゐました。 赤い天鵞絨の頭巾をかぶったちひさな子が、毛布につつまれて窓の下の飴色の壁に上手にたてかけられ、まるで寢床に居るやうに、足をこっちにのばしてすやすやと睡ってゐます。 窓のガラスはすきとほり、外はがらんとして青く明るく見えました。 「まだ八時間あるよ。」 「ええ。」