「彼女になってくれない?」
と、言われた。
隣の席の真波山岳くん。久々に出席したかと思えば授業中も寝てばっかりのとんでもないマイペースなナマケモノ。
でも、部活にはとても熱心。
そんな頑張ってる真波くんに飴玉をおすそ分けで毎日上げてる。お隣だしおはよーぐらいの挨拶はするけど「おはよう霜月さん。おやすみ」それだけ言って彼は夢の中。これにて一日の会話が終了。
その繰り返しだけで私は十分に満足してる。好きな人の隣の席ってだけでも嬉しすぎるのにね。
「………。………えーっと、それってどう言う意味?」
「? そのままの意味だよ」
それで、よかったのに。
それが今、意中の張本人によってぶち壊されそうとしてる。
「ほ、本気?」
「本気だって。ね、霜月さん。俺と付き合ってみない?」
「いや、いやいや、おかしい。なんで、どうして、急に、」
「好きだなーって思える子が君だけだったから」
そんな昼下がりの授業中のことだった。
「好きだよ」
真波くんに告白されました。
翌日。
授業中に堂々と告白してくれたおかげでクラス、ましてや全校生徒にまで、あの真波がコクった。と噂が広まった。
「おはよう、霜月さん」
テンパりすぎて返事は後日ってことにしてもらったつぎの日。回りの視線を気にしつつ、教室に入ると。
真波くんが席にすわってこっちに手を振ってる。
あの遅刻常習犯の真波くんが。朝から席に座ってる彼を見られるなんて今日はとてもラッキーな日だ。
「お、おはよう真波くん!は、早いんだねっ」
「うん。君に会いたくって来たんだ」
まさかのわたし。
そんなきゅんきゅん台詞を恥ずかしげもなく言えるの、きっと真波くんだけだ。
「霜月さんって―――あ、名字呼びっておかしい?星華ちゃんの方がいいかな」
「え!?あ、ど、どっちでもいいよ!」
「じゃー俺のことも山岳って呼んでほしいな」
「………さ、山岳くん?」
「わぁ。いいね!それ。もういっかい!」
「さ、山岳くん」
「……。もういっかい、呼んで?」
「山岳くんっ」
ちょっとだけ、照れたように「えへへ」と笑う真波くん。初めて見た。そんな顔するのずるい。
「星華ちゃんって吹奏楽部だよね」
「え、なんで知ってるの?」
「んー、と。俺が自転車競技部に入ってるのを知ってるのと同じ」
「………ん?」
「帰りいっつも遅いよね。俺もよく遅くなるから一緒に帰ろうよ」
「え、いいの?」
「うん。だって君に会いたいから」
もうずるすぎる。
