※名前変換無し
「ふわあぁあ…」
『眠いね』
「うん、まだね。日が出てきたら覚めるよ。君は?」
『今日は、だいじょうぶ』
傍から見れば俺は変な人なんだろう。薄暗い部屋の中、一人で喋っているこの光景はとくにこの空間だと余計目立つ。
さっきまで一緒に寝てたベットから降りて俺の隣にちょこんと座った君は、他の人には見えない。つまり俺だけにしか見えない。俺だけが独占できる。俺の、好きなヒト。
じーっと彼女を見つめる。まだ起きたばかりで思考がままならない。頭がぼーっとする中彼女の名前を連呼した。
『さんがく』
そのまま溶けちゃうんじゃないかってぐらい目を細めて目尻を下げて、小さな口から俺の名前を呼んでやさしく微笑んで。
君のその笑顔が好きて好きでたまらない。
しかも顔には少し赤みがかかっているじゃないか。その意味を理解するまで数秒もかかるわけなく、勢いよく抱きついた。(昔は笑った顔しか見たことなかったのに今じゃこんなに人間らしくなっちゃって…)
羽より軽くて柔らかいきみはまたまたベットに一緒になって倒れ込む。
腕の中でくすくすと笑う俺の、自転車ちゃん。
俺の大大大好きなヒト。
ほんとーに可愛くてぎゅうぎゅうになるまで強く抱きしめる。それは最高の幸せ。
「そりゃそうだ。君とこれからいろんな景色を見に行くんだもんね!調子なんて最初からバッチリにきまってる。ねぇ、どこみたい?君がいきたいところ、走りに行こう!俺が頂上まで連れていってあげる!」
こくこくと頷く。頬はまだ赤い。ここ最近よく色づくようになったなぁと、しみじみ思う。
『行こう山岳。キレイなところが見たい』
その反面嬉しくて仕方ない。
俺の大好きな自転車ちゃんが、俺の名前を呼んで、俺の隣で笑ってて、優しく微笑む。触れ合って、指を絡めて見つめ合って、
『山岳』
「んー?」
『好き』
「…うん」
『好きよ、山岳』
「俺も…大好き」
愛の言葉をささやく。