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『Apex Legends/レイス 2022/02/19』


※夢主はデフォルト名(ユメ)です※


「レイス! これ、受け取って」

そう言って私は目の前にいる彼女に小箱を差し出した。
小箱の一部は四角くくりぬかれ、そこに透明な紙が張られて中身が見えるようになっている。
中に入れた物は当然、バレンタインデーのために用意した手作りのチョコレート菓子だ。お菓子作りは殆どしないが、本命のレイスにあげるのだから頑張って凝った物を作ってみた。
しかしレイスは少し小箱を見やっただけですぐ私に顔を向け、至って冷静に口元を緩ませた。

「ありがとう。嬉しいわ」
「あ、あれ? もっと驚いてくれるのかと思ったのに……」

私の予想、いや理想なら中身を見た瞬間にレイスが目を見開かせ、凄いわねとか美味しそうねといった賛辞の言葉を送ってくるはずだったのに。あわよくばそのまま感謝の言葉を言って頬にキスくらいしてくれるかも、なんて欲深いことまで考えてしまっていた。
がっかりしているのが顔に出てしまったのか、レイスは私を見て小さく笑うと少し困ったような表情になった。

「もう、忘れたの? 私には未来の出来事を知らせてくれる声が纏わりついているのよ。今日あなたが凝ったチョコを渡してくるのも既に知っていたわ」
「ああ、なんだ……じゃあ驚かないのも無理は無いよね……」
「そんなに拗ねないで。声が教えてくれる出来事が必ずしも正しいとは限らないの。でも、結果的に今回は当たっていた。あなたからこんなに素敵なバレンタインの贈り物を貰えてとても嬉しいわ」

「ありがとう」そう続けてレイスは再び微笑むと、まるで私の考えを読んだかのように頬に優しくキスをしてきた。
突然のことに戸惑った私は緊張で息が詰まり、しばらくその場から動けなくなった。体中の血液が頭に集中し、顔が焼けてしまいそうな程熱くなっている。そんな私をレイスは愛おしそうに見つめていた。
ようやく声が出せるようになった頃には、私の口角はすっかり吊り上がってしまっていた。

「えへへ、とにかく喜んでもらえて本当に良かった」
「あなたから貰う物は何であれ嬉しいわ。それが虚空の声で分かっていたとしても」
「じゃあ、この後のことは何て言っていたの?」
「そうね……あなたから食事に誘われて、オーケーする。その後は私がもっと静かな場所を提案して、あなたもオーケーする。こういう未来でどうかしら?」
「それ、すごく素敵だね!」

私はレイスに明るく笑い掛けると頷いた。それを見てレイスも嬉しそうに頷き返してくれた。
私はレイスの腕に自分の腕を絡ませると、そのまま二人で談笑を交わしながらお気に入りの店まで出掛けるのであった。




ありがとうございました!

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