あの時、死んだ。確かに死んだ。 親父が、弟が、仲間が。助けに来てくれて、けれどおれは、たしか。助けてもらうことができずに、死んだんだ。 最期に何を思ったか、そこだけぼんやりとして思い出すことができない。 みんなに、おれはなにをおもった? 赤犬のマグマ野郎に内臓を焼かれて、もはや痛くもなかったことを覚えている。 耳にこびりついて離れねえ声は弟の声だ。 血はつながってねえがかわいくてしかたない、危なっかしくて、聞かんぼうな、世話の焼ける俺たちの弟の、聞いたことがないような声。俺の名前を呼ぶ声。 親父は、きっと。あの言葉を思い返せば。…勇敢に、散ったのだろう。 ああ。けれど先に死ぬだなんて、なんもかんも、おれは親不孝にもほどがあるな。 ルフィに、何かを伝えた。おれは。けれど、なにを伝えたのか思い出せない。 ぱちぱちと目を瞬けば、視界には白しか映らない。 白は、好きだ。偉大なる親父のトレードマークは白いひげだし、うまいメシも白い色。けれど、今俺の周りの白い色は、あまりにもそれ以外なさ過ぎて…少しだけ、嫌だ。 たっているのか、座っているのか。体の感覚がなくて、それすらわからない。おれはもう死んだのだから、きっと足はないのだろう。歩いているという感覚はしないけれど、身体はなぜかどこかに進んではいる。 まるでなにかに導かれるかのように、ひと際大きく瞬いている白にむかっておれは進む。 あまりにも眩しくて、思わず目をつぶった。