2023/07/15(Sat)

子分の独白

ただくどくど考えてる子分


ロマーノは、しばしばひどい劣等感に襲われる。それはロマーノが滅多に見せないヤル気を出して打ち込んでいた仕事より、弟のヴェネチアーノのの方がずっと良い仕事の成績を残した時であったり、同じものを作ったのに弟のヴェネチアーノの物の方が高く評価される時だったりと、結局弟に関することがほとんどだった。
そういうことが起こるたび、ロマーノは目に見えて落ち込んで、ひどい時は心の底からヴェネチアーノが消えればいいのにと思うことがある。それを決して口にしないのは、ロマーノの中に残るなけなしのプライドがそうさせた。
けれどひどく八つ当たりしてしまうことはよくあって、その度泣きそうになりながらヴェネチアーノが謝ってくると、決まってロマーノは罪悪感に襲われるのだ。ヴェネチアーノに悪気があるわけでない。
何も出来ない自分自身が悪いとわかっているのに、がんばったって結局ロマーノより上手な者ばかりで、いつのまにかロマーノは何もしなくなった。そうして癇癪を起こして、周りを傷つけてばかり。
けれど周りは決してロマーノを傷つけない。ダメなヤツだと蔑んで、罵って、消えてしまえと言われていれば、ロマーノはとっくに消滅していたのかもしれない。なのにいつだって周りはロマーノに優しくて、ロマーノの数々の失敗を許していた。
許されることで、やっとロマーノはその場に立っている。
「大丈夫や。親分に任せとき!」
一番ロマーノを恨んでいてもおかしくない男は、何故か今日もロマーノをかわいがる。その理由はロマーノにはわからないが、その男がくたばらない限り、ロマーノは存在し続けなければならない。自身が消えると、悲しませることはわかっていた。それをしないことが、ロマーノに出来るせめてもな罪滅ぼしなのだ。
「俺がいねえと親分ヅラ出来ねえしな……」
スペインという男と出会えたことが自身にとって救いであると、ロマーノは本気で信じていた。

未分類 西ロマ
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