3話

あ、いる

今度は木陰の下でボーッと座っていた。しかもその木がある場所は家の裏側。人も滅多に来ないし、手入れをしていないため雑草も生えていた。その中に無表情でポツンと幼女がいる姿がえらく対照的で今でも記憶に残っている

「名前、何してるんだ?こんなところで」

俺が声をかけると首だけこちらに向け、またもとから向いていた方へ首を戻した。前話したときも声が小さかったし、ここから叫ぶことなんて天地がひっくり返ってもあり得ないだろうと、出会って顔を合わせるのが2回目ながらに理解した。彼女のそばに近寄る

「空」

指を指して言葉を発した。言われたとおり空を見上げるが、普段と変わらずただの空だ。この前俺が教えた言葉を繰り返したのか。俺の方を見ながらそう言った

「空見るの好き?」

コクリ。彼女がうなずいた。何気ない空を見るのが好きなのか。可愛いところがあるではないか。そのときちょっとときめいた記憶がある。ちょっとだけだよ、ほんとに

すると、名前は俺を指差して首をかしげる。そういえば前自分は名乗らなかったっけ。俺の名前を知りたいと言っているように思えた

「俺の名前は蒙「ボンボン」…は?」

それだけ言うと彼女は立ち上がりそそくさと屋敷の方へ走り去って行った

「え、待ってよ。てかなんでそんな言葉だけ知っんだ!こら!!」

小さい背中を追っかけた

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