4話

結局名前は名乗れず。再び会ったのは数日経ってからだった。何気なく調理場を覗いたらいたのだ

「キャーッ!!!この子、薪を入れすぎ!!!」

だから少し焦げ臭い匂いがしたのか。見ると限界まで釜戸に詰め込まれた薪たち。釜戸が今にも悲鳴をあげそうだ

「薪を割れって言わなかった?」

「…終わった」

「あんな大量にあって終わるわけがないでしょ…お、終わってる…」

女中の一人が名前に薪を割るように指示した。一日経っても終わらないであろうその作業をほんの数時間で終わらせてしまった名前に驚きが隠せずに顔が引きつっていた

米は少し焦げが着いただけで済んだ。しばらくは調理場に名前は出禁となった。やる気を見せたところそれが裏目に出たらしい。真面目に仕事をしている姿を初めて見た。今までサボっている姿しか見ていない。それはそれで悪いことだが

「こんな細いのに何処にそんな力があるんだ?」

「熊…食べたことあるから」

「え、どういう意味?」

少し話すことに馴れたのか会話がやっと成立した。しかし、それ以上は喋らなかった。たぶん俺が想像していることは正解だろう。一体どこから来てどうやって育ったのだろうか。会えば会うほど謎が深まるばかりだった

「手伝い禁止されて今暇だろ?ちょっとだけ付き合ってよ」

暇なら軍略を練る練習相手にしようと思った。何も知らない人相手だからこそ普段と違った策を作れるのではないかと思いついたからだ。訳がわからないと言うとように眉をしかめて首をかしげているが、構わずに俺の部屋に連れて行った

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