「ななしのここ違うピョン。そうじゃないピョン。何度言ったら分かるピョン。これ前に教えたばっかりピョン。やっぱりななしのはバカピョン」

「ぐ·····!」

 次のテストに向けて深津の家に勉強会に来た。やっぱり主将なだけあってか深津は要領がよろしく、勉学も人に教えれるくらいには出来るしなにより説明が分かりやすい。現にバカの代表である私でも理解しやすく内容がスっと頭の中に入る。
 ただ一言多い上に口癖のピョンがやかましい。ピョンピョンピョンピョンと脳内が洗脳される。

「深津そろそろ休憩にしよーぜ。これ以上ぶっ続けたらななしのがオーバーヒートするべ」

「それも一理あるピョン」

 同席していた河田が見かねたようで助け舟を出してくれた。河田もごつい顔の割には意外と優秀で、特に文系に関しては深津よりも出来がよくて一緒に教えてくれていた。
「飲み物持ってくるピョン」と深津が立ち上がり部屋から出た。

「ずっと思ってたけどなんで深津って言葉の後ろにピョンって付くの。ねぇなんで河田」

 今年はピョンで、去年はベシ、一昨年はなんだったか忘れた。

「さあな。そんなことオレに言われても知らねぇ」

「気になんないの?」

「1年の時に気にするのを止めた」

「あれかな高校デビューとかキャラ作りかな」

「まだ気にしてんのかおめー」

「だって気になるじゃん」

「じゃあ深津に聞け」

「聞いたよ。そしたら「絶対教えないピョン」って鼻で笑われた」

「もう聞いてたのかよ」

 呆れたように言う。

「そういやこないだ深津とバッシュ見に行ったんだが、その途中で深津にそっくりな女の子を見かけてよぉ」

「坊主頭で唇がぽってりしてちょっと目が死んだ感じの女の子?」

「そうじゃねえ!見た目は普通だった!」

「じゃあなに」

「語尾が「にゃん」だった」

「あー深津だ」

「別にオレは気にもならんかったんだが、そん時の深津の顔と来たらバケモンでも見たような顔して「信じられん、あんなこと言っててなんて痛い奴なんだピョン……!」とか1人でブツブツ言ってたな」

「うそぉ。自分のこと棚に上げ過ぎでは」

「同族嫌悪ってやつなんだろうな。少なくとも自分は別らしい」

「なに2人で盛り上がってるピョン」

 深津が人数分のコップが乗ったお盆を片手に、もう片方の手にはお菓子の入ったカゴを持って帰ってきた。
 さっきの河田の話もあって少し悪戯心が芽生え、試しに、

「深津のピョンで盛り上がってたケロ」

 なんておどけてみたら深津は明らかに顔を顰めた。それこそ深津は普段表情があまり変わらないから物凄く珍しい反応だった。

「痛いからやめた方が良いピョン」

「えぇ自分はやってるくせにケロォ!?」

「オレは別ピョン。これ以上するなら勉強絶対教えないピョン。また赤点取ってまた先生に怒られればいいピョン」

「ごめんなさいもうしません申し訳ありませんでした深津さん」

「ホンットバカだなななしの」