ネイルを長持ちさせる方法

 ネイルを変えるだけで一気にテンションが高くなるのは私だけではないはずだ。
 今回は七月ということもあり、爽やかなイメージにしてほしいと依頼をした。いつも指名をしているネイリストさんは、私の頭の中をまるで見たかのように、イメージ通りのネイルをしてくれた。
 日焼けのせいか、最近肌のかさつきも気になり、ハンドケアもしてもらい、お金は飛んだがそれ以上のものを手にすることが出来た。
 いつもよりしっとりとし、綺麗になった手を見るだけで口角が上がる。

「何ニヤニヤしてんだ。」
「ヒャッ!!」

 突然話しかけられ、まるで漫画のように飛び跳ねて驚いてしまった。
 声を掛けた本人はそこまで驚かれるとは思わなかったらしく、大きな目をさらに大きく見開いた後、フッと鼻で笑った。

「突然声掛けられたら誰だってびっくりするでしょう?」
「そうか、それは失礼したな。」

 意外にも素直に謝られ、今度はこちらが驚く番だった。

「で、何の用?尾形。」
「別に。知った顔がいたから声を掛けただけだ。」

 嘘のない言葉になんて返せばいいのか分からず、私はそうとだけ答えた。
 すると尾形は先ほどまで私の手に視線を向け、その部分をじっと見つめた。

「今回は夏っぽくしてくれとでも頼んだのか?」
「え?」

 透け感の白をベースにオーロラパウダーで奥行きを作ってくれたネイルを尾形は指差した。
 まさか尾形がネイルなどに興味を持つなんて思っていなかったので、必要以上に声を大きくして驚いてしまった。

「なんだよ。」
「いや、まさか尾形がネイルを見てくれるなんて思ってもいなかったから。」
「は、あんなにニヤニヤしながら手を見てるんだ。気になるだろうが。」
「っ!!そんなにニヤニヤしてないし!!」

 怪しかったぞという尾形の言葉に、ムキになって否定をする私の反応が楽しかったのか、いつもよりも幾分砕けた雰囲気で笑った。
 そんな顔で笑う尾形を見るのが初めてで、尾形もこんな顔をするのかと少しだけ心臓が跳ねた。
 いつもそんな顔していればいいのに。そうすればもっと会社の女の子からモテるよ。元々の顔は良いんだから。
 いつもの私だったらきっとそんなことを口にしたことだろう。

「あ〜……、まぁなんだ。とりあえずお前っぽくていいと思うぞ、ソレ。」

 けれど尾形があまりにも言い慣れていない感満載でネイルを褒めたので何も言えなくなった。普段からは想像できない行動で、ビックリしてしまった。

 あぁ。
 とりあえず尾形が珍しく褒めてくれたから、このネイルが一日でも長く綺麗なまま保てるように、ネイルオイルでも買って帰ろうかと思った。

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