連休初日
大型連休の前、手元にある仕事を残しておくのは性分に合わず、ここ一週間馬車馬のように働いた。ええ、それはもう本当に。
そうしてふらふらになりながら帰った日、もはや私の頭がおかしくなっていたのだろう。ベッドにゴロンと寝ころびながら緑色のアイコンをタップし、彼氏である尾形にメッセージを送った。
「明日、I●EAに行こ!!!!!!」
今思えばエクスクラメーションマークの多さにテンションのおかしさが伺える。昨日の尾形もそれを察したのか、返ってきた返事は、お前大丈夫かと文字で書かれた生意気そうな顔をした黒猫のスタンプ。
まるで尾形のようなその猫に大丈夫と親指を立てているスタンプで返事をする。
そうしていつの間にか寝てしまっていた。
「おい、起きろ」
「わっ……」
目を覚ますと尾形。しかも白いシャツに薄手のブラックカーディガンと言ったお出かけ。
片や寝起きで―下手したらよだれが垂れているかもしれない―パジャマ姿の私。寝ぼけた頭でなぜ尾形がここにいるのか考える。
「お前、今日IK●A行こうって言ってきただろうが。」
時間を聞いても連絡ないから寝てるとは思っていたが、とため息交じりに嫌味を言われ、そういえば昨日そんな連絡をしたなとゆっくり起き上がりながら思い出す。
「車を下に止めてるから早く支度しろよ。」
駐禁切られたくないからあと10分以内にしろと言い残し、尾形は部屋を出ていった。
「嘘でしょう。私今起きたばっかなんだけど……。」
おそらく下に止めている車に戻ったのだろう。
待たせている手前、髪は巻けなかったし、化粧も適当だったが、久しぶりに尾形とお出かけデートが出来るのでせめて服だけでもと、新しく買った春服に着替え、準備をした。流石に10分は無理だったが、自分史上最速でお出かけの準備をし、尾形の待つ車へと向かった。
「ごめん、お待たせ。」
「ん。」
てっきり嫌味の一つや二つ、言われることを覚悟していたが、私の姿を見た尾形は私の謝罪に短く返事をしただけで、ちょっと拍子抜けした。
すぐに出発するのかと思って、急いでシートベルトをしようとしたが、そんなときに限って上手く出来ない。
「ちょっと待ってて。」
「慌てんなよ。」
何とかシートベルトが出来た時、ふっと影が差した。
顔を上げると、先ほど同様尾形の顔が目の前にあり、流れるような仕草で唇を合わせた。
「ちょ、何?」
「可愛かったから。」
尾形のこう言う素直な物言いは心臓に悪い。いつもじゃないから免疫が出来ておらず、私はいつも翻弄されっぱなしだ。
耳まで赤くなってしまっている私をふっと軽く笑い、尾形は車を走らせた。
****
さすが大型連休。
店の中にはすでに人がたくさんいた。もちろんフードコートは既に行列を作っている。
そんな列を横目に、私たちはカゴ代わりのショップバッグを肩にかけ、矢印の通りに進む。
途中見つけたサメのぬいぐるみやショールームで遊びながら、欲しいものをバッグに詰めていくとあっという間にバッグはパンパンになっていた。最後に収納として欲しかったワゴンを倉庫から無事探し出し、買い物は終了。
会計を済ませ、車に荷物を詰める。
「たくさん買ったな。」
「そうだね、これで整理できてスッキリするよ。」
変なテンションで誘ってしまったし、すっかり寝坊してしまったけれど、尾形がこうして私のために車を出してくれて、行きたいところに連れてきてくれて本当に嬉しかった。
素直にありがとうとお礼を言うと、別に、と照れくさそうにしていたのは黙っておいた。
尾形はいつのまに手続きをしたのか、来客用の駐車場へ車を止め、荷物を持って部屋まで運んでくれた。
勝手知ったるなんとやら、部屋に入るなり、適当な場所に荷物を置いて手洗いうがいをさっさと済ませる。
「で、さっきのワゴンとやらを組み立てるんだろう。」
「え、うん。そうだけど、やってくれるの?」
「?当然だろう?」
当たり前のように作るところまでやってくれるなんて、なんてできた彼氏なんだろう。
とりあえずドライバーやら何やらを準備して、箱から部品を取り出した。
尾形はこう言った作業が好きなのか、黙々と説明書を見ながら組み立てていく。私はその間、手持ち無沙汰なので二人分のコーヒーを淹れるべく、お湯を沸かし始めた。
キッチンから見る尾形の横顔はいつも以上に頼もしく見え、こんな生活がいつまでも続けばいいのに、なんて柄にもないことを考えてしまった。
「できたぞ。」
「もう?!」
そうこうしている間に、尾形はワゴンを完成させ、動きをチェックしていた。あまりの早さに驚きつつ、お礼のコーヒーを渡す。
「ありがと、尾形。助かっちゃった。」
「いやいい。」
ソファで横並びに座り、一緒にコーヒーを飲んで一日を過ごす。なんて最高な休日なんだ。
「次はベッドでも買おうか。」
「その時は一緒に住む時だな。」
冗談で言った言葉にさらりととんでもない言葉を返され、固まってしまう。
「え?」
「ははぁ」
最高の休みのスタートになりそうだ。
そうしてふらふらになりながら帰った日、もはや私の頭がおかしくなっていたのだろう。ベッドにゴロンと寝ころびながら緑色のアイコンをタップし、彼氏である尾形にメッセージを送った。
「明日、I●EAに行こ!!!!!!」
今思えばエクスクラメーションマークの多さにテンションのおかしさが伺える。昨日の尾形もそれを察したのか、返ってきた返事は、お前大丈夫かと文字で書かれた生意気そうな顔をした黒猫のスタンプ。
まるで尾形のようなその猫に大丈夫と親指を立てているスタンプで返事をする。
そうしていつの間にか寝てしまっていた。
「おい、起きろ」
「わっ……」
目を覚ますと尾形。しかも白いシャツに薄手のブラックカーディガンと言ったお出かけ。
片や寝起きで―下手したらよだれが垂れているかもしれない―パジャマ姿の私。寝ぼけた頭でなぜ尾形がここにいるのか考える。
「お前、今日IK●A行こうって言ってきただろうが。」
時間を聞いても連絡ないから寝てるとは思っていたが、とため息交じりに嫌味を言われ、そういえば昨日そんな連絡をしたなとゆっくり起き上がりながら思い出す。
「車を下に止めてるから早く支度しろよ。」
駐禁切られたくないからあと10分以内にしろと言い残し、尾形は部屋を出ていった。
「嘘でしょう。私今起きたばっかなんだけど……。」
おそらく下に止めている車に戻ったのだろう。
待たせている手前、髪は巻けなかったし、化粧も適当だったが、久しぶりに尾形とお出かけデートが出来るのでせめて服だけでもと、新しく買った春服に着替え、準備をした。流石に10分は無理だったが、自分史上最速でお出かけの準備をし、尾形の待つ車へと向かった。
「ごめん、お待たせ。」
「ん。」
てっきり嫌味の一つや二つ、言われることを覚悟していたが、私の姿を見た尾形は私の謝罪に短く返事をしただけで、ちょっと拍子抜けした。
すぐに出発するのかと思って、急いでシートベルトをしようとしたが、そんなときに限って上手く出来ない。
「ちょっと待ってて。」
「慌てんなよ。」
何とかシートベルトが出来た時、ふっと影が差した。
顔を上げると、先ほど同様尾形の顔が目の前にあり、流れるような仕草で唇を合わせた。
「ちょ、何?」
「可愛かったから。」
尾形のこう言う素直な物言いは心臓に悪い。いつもじゃないから免疫が出来ておらず、私はいつも翻弄されっぱなしだ。
耳まで赤くなってしまっている私をふっと軽く笑い、尾形は車を走らせた。
****
さすが大型連休。
店の中にはすでに人がたくさんいた。もちろんフードコートは既に行列を作っている。
そんな列を横目に、私たちはカゴ代わりのショップバッグを肩にかけ、矢印の通りに進む。
途中見つけたサメのぬいぐるみやショールームで遊びながら、欲しいものをバッグに詰めていくとあっという間にバッグはパンパンになっていた。最後に収納として欲しかったワゴンを倉庫から無事探し出し、買い物は終了。
会計を済ませ、車に荷物を詰める。
「たくさん買ったな。」
「そうだね、これで整理できてスッキリするよ。」
変なテンションで誘ってしまったし、すっかり寝坊してしまったけれど、尾形がこうして私のために車を出してくれて、行きたいところに連れてきてくれて本当に嬉しかった。
素直にありがとうとお礼を言うと、別に、と照れくさそうにしていたのは黙っておいた。
尾形はいつのまに手続きをしたのか、来客用の駐車場へ車を止め、荷物を持って部屋まで運んでくれた。
勝手知ったるなんとやら、部屋に入るなり、適当な場所に荷物を置いて手洗いうがいをさっさと済ませる。
「で、さっきのワゴンとやらを組み立てるんだろう。」
「え、うん。そうだけど、やってくれるの?」
「?当然だろう?」
当たり前のように作るところまでやってくれるなんて、なんてできた彼氏なんだろう。
とりあえずドライバーやら何やらを準備して、箱から部品を取り出した。
尾形はこう言った作業が好きなのか、黙々と説明書を見ながら組み立てていく。私はその間、手持ち無沙汰なので二人分のコーヒーを淹れるべく、お湯を沸かし始めた。
キッチンから見る尾形の横顔はいつも以上に頼もしく見え、こんな生活がいつまでも続けばいいのに、なんて柄にもないことを考えてしまった。
「できたぞ。」
「もう?!」
そうこうしている間に、尾形はワゴンを完成させ、動きをチェックしていた。あまりの早さに驚きつつ、お礼のコーヒーを渡す。
「ありがと、尾形。助かっちゃった。」
「いやいい。」
ソファで横並びに座り、一緒にコーヒーを飲んで一日を過ごす。なんて最高な休日なんだ。
「次はベッドでも買おうか。」
「その時は一緒に住む時だな。」
冗談で言った言葉にさらりととんでもない言葉を返され、固まってしまう。
「え?」
「ははぁ」
最高の休みのスタートになりそうだ。