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 珍しく何事もなく仕事が終わり、すんなり定時で帰れる事になった火曜日。

 このまま帰ってもご飯を食べてお酒を飲んでテレビを観るだけ。
 せっかく早く帰れるのだから何かワクワクする様なことをしたい。そう思い、久しぶりにウィンドウショッピングをすべく駅前の商業施設までやってきた。
 適当に気になるお店を見ていると、インテリア雑貨が可愛かったり、新作のリップが出ていたり、とついつい色んなものが欲しくなってしまう。

 しかし欲しいものを片っ端から買っていったら、それこそいくらお金があっても足りない。
 今日は見るだけ!と心に決めて、お店を見て回った。



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 ……そう決めていたはずなのに、私の手にはいくつものショップバッグが。
 言い訳になるかもしれないが、手に持っているのは本当に必要なものだ。

 まずはお皿。
 今度の尾形の誕生日を祝う時に使う用に買った。いつもは適当なお皿で出していたから統一性もなく、尾形はそう言うところを気にしなさそうだけれど、せっかくだから見栄えの良いものをと購入した。
 それからシャンパングラス。
 この間うっかり落として割ってしまったので、探していたら良いものが見つかった。
 あとちょうど切れそうだったスキンケア商品。
 こればかりは消耗品だからしょうがない。この時期、何も塗らずに過ごすことほど危険な事はない。
 肌がガッサガサな状態で尾形に会うのは避けたい。綺麗な姿でお祝いしたいという乙女の気持ちをわかって欲しい。
 そして最後。
 この前寄った文房具屋さんに再度立ち寄った。
 その時、私達のことを覚えてくれていた店員さんが教えてくれたのだ。

「あ、この間もいらっしゃってくださいましたよね。」
「そうです。この前は結局なんかしっくりくる万年筆が見つからなくって。」
「また新しい商品も入荷したんで見て行ってくださいね。」

 そう案内されたのは、この間も見た万年筆コーナー。確かにこの前見なかった商品が何点かあった。

「あ、これ良いな。」
「試し書きしてみますか?」
「はい。」

 紙と万年筆を受け取り、書き心地を確かめると想像以上に手に馴染んだ。
 するとその店員さんは「この間、お連れの方もそちら見ていたんですよ」と教えてくれた。
 聞くと、尾形も色々物色していたようだ。同じくこの万年筆が気に入ったようだが、その時は在庫がなくて、と教えてくれた。
 特に欲しいものはないと言っていたが、せっかくだからこれを誕生日プレゼントにするのも良いかもしれない。
 そうと決まれば行動すべし。そのまま店員さんにお願いします、自分用と尾形用の2つを購入し、プレゼント用にしてもらった。


 尾形のお誕生日まであと残り五日。

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