火曜日。
よくよく考えるとここ数日眠かったし、やたらと甘い物が食べたかった。
なんだかお腹が重い気がして、トイレに行くと案の定生理になっていた。
……朝、着替える前に気付いてよかった。昨晩用意していたベージュのパンツをクローゼットに戻し、黒いフレアスカートに急いで変更した。
****
「おはようございます」
会社に着いた時にはお腹も痛くなり始めていた。しかし顔には出さずにいつも通り、周りに挨拶しながら自分の席へ向かう。
デスクの引き出しには確か痛み止めが入っていたはずだ。そっと引き出しを開けて確認し、あったことに安心してパソコンの電源を入れた。
「おい」
お昼休み。自販機で飲み物を買っている時に背後からぶっきらぼうに声を掛けられた。こんな声の掛けられ方は1人しかいない。
「どうしたの?尾形。」
振り向くとやはりそこにいたのは尾形。ついでに隣には尾形と同じ部署の人らしき黒子が特徴的な人がいた。
「お前、…チッ。コーヒーブラック、飲めねーだろうが。」
「ぅえ?ちょ、」
そう言うと背にしていた自販機のミルクティーのボタンを押して、手に持っていたブラックコーヒーと交換してしまった。
「えぇー……」
文句を言う前に去っていってしまった尾形の背中にそれしか言えなかった。
いつもブラックコーヒーしか飲んでない。
尾形だってそれは知ってるだろうに、何故この様な暴挙をとったのか。
しばらくボーッとその背中を見ていたら隣の人が振り返り、私の方を見て手を軽く振ってきたので会釈を返した。その人はニッコリ笑った後尾形に何かを言いながら脇腹を突いていた。
珍しく誰かとつるむ姿に驚きながらも交換したミルクティーを持ってデスクに戻っていった。
「夢野、珍しいな。」
「何がですか?」
「ソレ。いつもはコーヒーブラック一択だろ。」
せっかくだからとミルクティーを飲んでいたら隣の席の菊田さんがめざとく指摘してきた。
「そうですね。今日は気分じゃないと言うか……」
正直に尾形と交換したと言うのもなんだか恥ずかしくてモゴモゴと濁して言うと、菊田さんはニヤニヤしながら言った。
「ふーん。……知ってるか?コーヒーは身体冷やすからあんまり女の子は飲むと良くないんだぞ。」
「へー。」
「んで、だ。紅茶は体を温めるっつー効果がある。」
「なるほど……?」
なんでそんな話をし始めたのか分からないが、とりあえず上司である菊田さんの話に相槌を打つ。
「お前さん、寒そうにしてたからソレの方が良いだろう。」
「そう、なんですね。」
隣にいる菊田さんはいざ知らず、尾形は私が寒そうにしているのを知らないはず。なのにこれを渡して来たのか。そう考えると急に顔が熱くなる。
「ソイツは夢野の事をよく見てるな。」
「え?」
尾形と交換した事は菊田さんは知らないはず。いや、やけに人脈が広いこの人が知らない訳がない。
……本当に人が悪い。
「ま、せいぜい仲良くな。」
「……はい。」
そんな会話をしってか知らずか、タイミングよくパソコンにメールが送られて来た。
「顔色悪い。無茶すんな。薬は飲んだのか?」
よくこれで営業ができるなと思われるくらいの短文。らしいと言えばらしいが。
「大丈夫。紅茶ありがとう。これあんまり甘くなくて良いね。今度からこれ買うわ。薬は常備してるからあまりにも酷かったら飲む。」
隣にいる菊田さんがいまだにニヤニヤしながらこっちを見ている。そんな姿を横目にカタカタと返事を打った。
我ながら可愛げのないメールだ、と思いつつも今さら変えることなんて出来ない。
これが日常。
尾形とはこれくらいの付かず離れずの関係がちょうどいいのだ。私の恋心なんて気付いてしまわなくて良い。
あぁ、なんだかお腹が痛くなって来た。
引き出しから薬を取り出し、ミルクティーで飲み干す。なんだかさっきよりも甘くて苦く感じた。
なんだかお腹が重い気がして、トイレに行くと案の定生理になっていた。
……朝、着替える前に気付いてよかった。昨晩用意していたベージュのパンツをクローゼットに戻し、黒いフレアスカートに急いで変更した。
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「おはようございます」
会社に着いた時にはお腹も痛くなり始めていた。しかし顔には出さずにいつも通り、周りに挨拶しながら自分の席へ向かう。
デスクの引き出しには確か痛み止めが入っていたはずだ。そっと引き出しを開けて確認し、あったことに安心してパソコンの電源を入れた。
「おい」
お昼休み。自販機で飲み物を買っている時に背後からぶっきらぼうに声を掛けられた。こんな声の掛けられ方は1人しかいない。
「どうしたの?尾形。」
振り向くとやはりそこにいたのは尾形。ついでに隣には尾形と同じ部署の人らしき黒子が特徴的な人がいた。
「お前、…チッ。コーヒーブラック、飲めねーだろうが。」
「ぅえ?ちょ、」
そう言うと背にしていた自販機のミルクティーのボタンを押して、手に持っていたブラックコーヒーと交換してしまった。
「えぇー……」
文句を言う前に去っていってしまった尾形の背中にそれしか言えなかった。
いつもブラックコーヒーしか飲んでない。
尾形だってそれは知ってるだろうに、何故この様な暴挙をとったのか。
しばらくボーッとその背中を見ていたら隣の人が振り返り、私の方を見て手を軽く振ってきたので会釈を返した。その人はニッコリ笑った後尾形に何かを言いながら脇腹を突いていた。
珍しく誰かとつるむ姿に驚きながらも交換したミルクティーを持ってデスクに戻っていった。
「夢野、珍しいな。」
「何がですか?」
「ソレ。いつもはコーヒーブラック一択だろ。」
せっかくだからとミルクティーを飲んでいたら隣の席の菊田さんがめざとく指摘してきた。
「そうですね。今日は気分じゃないと言うか……」
正直に尾形と交換したと言うのもなんだか恥ずかしくてモゴモゴと濁して言うと、菊田さんはニヤニヤしながら言った。
「ふーん。……知ってるか?コーヒーは身体冷やすからあんまり女の子は飲むと良くないんだぞ。」
「へー。」
「んで、だ。紅茶は体を温めるっつー効果がある。」
「なるほど……?」
なんでそんな話をし始めたのか分からないが、とりあえず上司である菊田さんの話に相槌を打つ。
「お前さん、寒そうにしてたからソレの方が良いだろう。」
「そう、なんですね。」
隣にいる菊田さんはいざ知らず、尾形は私が寒そうにしているのを知らないはず。なのにこれを渡して来たのか。そう考えると急に顔が熱くなる。
「ソイツは夢野の事をよく見てるな。」
「え?」
尾形と交換した事は菊田さんは知らないはず。いや、やけに人脈が広いこの人が知らない訳がない。
……本当に人が悪い。
「ま、せいぜい仲良くな。」
「……はい。」
そんな会話をしってか知らずか、タイミングよくパソコンにメールが送られて来た。
「顔色悪い。無茶すんな。薬は飲んだのか?」
よくこれで営業ができるなと思われるくらいの短文。らしいと言えばらしいが。
「大丈夫。紅茶ありがとう。これあんまり甘くなくて良いね。今度からこれ買うわ。薬は常備してるからあまりにも酷かったら飲む。」
隣にいる菊田さんがいまだにニヤニヤしながらこっちを見ている。そんな姿を横目にカタカタと返事を打った。
我ながら可愛げのないメールだ、と思いつつも今さら変えることなんて出来ない。
これが日常。
尾形とはこれくらいの付かず離れずの関係がちょうどいいのだ。私の恋心なんて気付いてしまわなくて良い。
あぁ、なんだかお腹が痛くなって来た。
引き出しから薬を取り出し、ミルクティーで飲み干す。なんだかさっきよりも甘くて苦く感じた。