土曜日。
「待って待って、化粧落としたい。コンビニ寄っていい?」
「しょうがねえな。」
電車に乗ってる間、ずっと繋がれた手は今もまだ当たり前のようにそのままだ。
クレンジングオイルを買うときも、だ。
「あの、尾形、さん」
「ん、何だ?」
「流石に恥ずかしいのでそろそろ手を離していただけると……」
言葉にするとさらに恥ずかしくなって顔に熱が集まる。
目の前の男はそれがわかっているはずなのに逆に強く握られ、そして言った。
「ははぁ。それよりも下着は買わなくていいのか?」
すっかり期限がよくなったのか、笑って追い討ちをかけられた。
「〜〜!買います!!」
こうなりゃもう自棄だ、と目の前にあるシンプルな下着をとって急いでカゴに入れる。
さっさと会計をしようとレジへ向かう。
「お財布出すから本当手離して。」
「いい。」
お財布を出そうとするとサッとスマホ決済で会計を済ませて袋を受け取った。こんな事普段からしてますよ、と言わんばかりのスマートな仕草。
きっと今まで色んな女の人にこんなことをしてきたのだろうと思うと眉間に皺が寄る。
「……言っとくが、こんな風に誰彼かまわず家に連れて帰るわけではないからな。」
「え?」
変な顔になっていた私に気づいたのか聞こえるか聞こえないかの声で尾形は言う。
「お前だから、だ」
「は?」
言ってることが理解できないまま、引き摺られる様に家へと連れて行かれた。
****
「適当に座ってろ」
「おぉぉ……はい」
結局、先ほどの言葉の意図が分からないまま着いた先は生活感のない、必要最低限のものしか無いような家だった。
「飲み物、」
「ん?」
「ビールでいいか?」
「あー、うん。」
聞くや否やプシュといい音を立ててプルタブを開け、私に渡してくれた。
こういうさりげない優しさが好きなんだよな、と思いつつお礼をして受け取る。
「お疲れさま」
「ん。」
同じように開けられた缶を軽く合わせた乾杯。そしてグイッと缶を傾ける。
「うまぁ」
「ははぁ、おっさんか」
「うるさい。谷垣のせいで疲れてるんだよ」
お酒が入ったからかさっきまでの緊張は何処へやら。いつものような会話が出来ている自分にホッとしながらビールを飲む。
なのにするりと上から重ねられた手にピクリと反応してしまう。
「……風呂、入るか?」
「……うん。」
少し掠れた声で言う尾形に、なんで女の私より色気があるんだと言いたかったが、ビールで潤したはずの口の中はカラカラに渇いていて頷くことしか出来なかった。
「ほらよ。寝巻き代わりにこれでも着とけ。」
お風呂を沸かしに行った尾形が戻ってくるとポンとグレーのスウェットを渡された。
「あ、ありがとう。」
「ん。」
バスルームへ向かい、ドアを閉めたところで一気に顔に熱が集まった。
今まで普通に出来ていただろうか。
不審な点はなかっただろうか。
コンビニでのあの発言の意味は何だっただろうか。酔って少し回転が鈍くなった頭でグルグルと考える。
シャワーをサッと浴び、せっかく用意してくれたので湯船にも浸かった。
家主よりも先に入ってしまったが問題なかっただろうか、と今更ながら考えたがもう遅い。
身体が温まったところで出て、せっかく用意してくれた服を着た。
「お先でした。お風呂ありがとうね。」
「ん。つーか早くねぇか?」
ちゃんと温まったか、と聞いてくる尾形に思わず笑ってしまった。
「ふふ、尾形ってばお母さんみたい。」
「……笑うな。これでもこっちは一杯一杯なんだよ」
「は?」
見るといつものような余裕は無かった。
するりと頬を撫で、熱っぽい視線で見つめてくる。
「スッピン。」
「あ、え?うん。」
「普段と違って幼くなるな。」
「そう?」
「あと、俺の服着てる。」
「これは渡されたから」
「ははぁ、ブカブカだな」
そのまま首筋をなぞるからゾクリとする。
「……風呂行ってくる」
言いたいことを言えて満足したのか、尾形はニヤリと笑ってバスルームへと消えていった。
その後戻ってきた尾形は、すぐさま私を抱き抱えて寝室へと連れていった。
「おはよぅ……」
「ん。」
尻すぼみに朝の挨拶をしてしまうのは仕方ないと思う。目の前の男に挨拶出来ただけ偉いと思ってほしい。
昨日のことを思い出し、恥ずかしくて消えてしまいたくなる。
「……おいおい、朝からそんな反応すんじゃねーよ。」
「うぅ」
「そんな顔してると朝でも関係なく襲うぞ。」
「襲っ!!」
「ははぁ、今日の予定は全部取り止めだ。」
そう言って反論する私の口を塞ぐようにキスをした。
昨日の行為を思い出して腰が引けたが、もちろんそんなこと尾形が許すはずもなく。
「やっと俺のもんになったんだ。堪能させろ。」
なんて言うからそっと腕を首に回して答えた。
結局この日は一日中ほぼベッドの上で過ごしたのは言うまでもない。
「しょうがねえな。」
電車に乗ってる間、ずっと繋がれた手は今もまだ当たり前のようにそのままだ。
クレンジングオイルを買うときも、だ。
「あの、尾形、さん」
「ん、何だ?」
「流石に恥ずかしいのでそろそろ手を離していただけると……」
言葉にするとさらに恥ずかしくなって顔に熱が集まる。
目の前の男はそれがわかっているはずなのに逆に強く握られ、そして言った。
「ははぁ。それよりも下着は買わなくていいのか?」
すっかり期限がよくなったのか、笑って追い討ちをかけられた。
「〜〜!買います!!」
こうなりゃもう自棄だ、と目の前にあるシンプルな下着をとって急いでカゴに入れる。
さっさと会計をしようとレジへ向かう。
「お財布出すから本当手離して。」
「いい。」
お財布を出そうとするとサッとスマホ決済で会計を済ませて袋を受け取った。こんな事普段からしてますよ、と言わんばかりのスマートな仕草。
きっと今まで色んな女の人にこんなことをしてきたのだろうと思うと眉間に皺が寄る。
「……言っとくが、こんな風に誰彼かまわず家に連れて帰るわけではないからな。」
「え?」
変な顔になっていた私に気づいたのか聞こえるか聞こえないかの声で尾形は言う。
「お前だから、だ」
「は?」
言ってることが理解できないまま、引き摺られる様に家へと連れて行かれた。
****
「適当に座ってろ」
「おぉぉ……はい」
結局、先ほどの言葉の意図が分からないまま着いた先は生活感のない、必要最低限のものしか無いような家だった。
「飲み物、」
「ん?」
「ビールでいいか?」
「あー、うん。」
聞くや否やプシュといい音を立ててプルタブを開け、私に渡してくれた。
こういうさりげない優しさが好きなんだよな、と思いつつお礼をして受け取る。
「お疲れさま」
「ん。」
同じように開けられた缶を軽く合わせた乾杯。そしてグイッと缶を傾ける。
「うまぁ」
「ははぁ、おっさんか」
「うるさい。谷垣のせいで疲れてるんだよ」
お酒が入ったからかさっきまでの緊張は何処へやら。いつものような会話が出来ている自分にホッとしながらビールを飲む。
なのにするりと上から重ねられた手にピクリと反応してしまう。
「……風呂、入るか?」
「……うん。」
少し掠れた声で言う尾形に、なんで女の私より色気があるんだと言いたかったが、ビールで潤したはずの口の中はカラカラに渇いていて頷くことしか出来なかった。
「ほらよ。寝巻き代わりにこれでも着とけ。」
お風呂を沸かしに行った尾形が戻ってくるとポンとグレーのスウェットを渡された。
「あ、ありがとう。」
「ん。」
バスルームへ向かい、ドアを閉めたところで一気に顔に熱が集まった。
今まで普通に出来ていただろうか。
不審な点はなかっただろうか。
コンビニでのあの発言の意味は何だっただろうか。酔って少し回転が鈍くなった頭でグルグルと考える。
シャワーをサッと浴び、せっかく用意してくれたので湯船にも浸かった。
家主よりも先に入ってしまったが問題なかっただろうか、と今更ながら考えたがもう遅い。
身体が温まったところで出て、せっかく用意してくれた服を着た。
「お先でした。お風呂ありがとうね。」
「ん。つーか早くねぇか?」
ちゃんと温まったか、と聞いてくる尾形に思わず笑ってしまった。
「ふふ、尾形ってばお母さんみたい。」
「……笑うな。これでもこっちは一杯一杯なんだよ」
「は?」
見るといつものような余裕は無かった。
するりと頬を撫で、熱っぽい視線で見つめてくる。
「スッピン。」
「あ、え?うん。」
「普段と違って幼くなるな。」
「そう?」
「あと、俺の服着てる。」
「これは渡されたから」
「ははぁ、ブカブカだな」
そのまま首筋をなぞるからゾクリとする。
「……風呂行ってくる」
言いたいことを言えて満足したのか、尾形はニヤリと笑ってバスルームへと消えていった。
その後戻ってきた尾形は、すぐさま私を抱き抱えて寝室へと連れていった。
「おはよぅ……」
「ん。」
尻すぼみに朝の挨拶をしてしまうのは仕方ないと思う。目の前の男に挨拶出来ただけ偉いと思ってほしい。
昨日のことを思い出し、恥ずかしくて消えてしまいたくなる。
「……おいおい、朝からそんな反応すんじゃねーよ。」
「うぅ」
「そんな顔してると朝でも関係なく襲うぞ。」
「襲っ!!」
「ははぁ、今日の予定は全部取り止めだ。」
そう言って反論する私の口を塞ぐようにキスをした。
昨日の行為を思い出して腰が引けたが、もちろんそんなこと尾形が許すはずもなく。
「やっと俺のもんになったんだ。堪能させろ。」
なんて言うからそっと腕を首に回して答えた。
結局この日は一日中ほぼベッドの上で過ごしたのは言うまでもない。