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 年末年始で周りの会社も休みだった分、溜まった仕事は比較的少なかったがそれでもやはり休み明け。
 やることは多く、慌ただしい日々を過ごしていた。
 それでもここ数日であらかた急ぎの仕事は片付け、ランチもゆっくりと食べれるようになった。
 そろそろ誕生日プレゼントを何にするか考えなくては、とサーチサイトで「彼氏 プレゼント」と入力して何かないかとスクロールする。
 これと言って良いモノが見つからず、どうしたものかと考えていた所、偶然エレベーターホールで尾形と遭遇した。

「ねぇ、尾形。」
「ん?」
「そろそろ誕生日じゃん。なんか欲しいものある?」

 そう聞くと尾形は少し考え、当日祝ってくれれば良い、とボソリと言った。
 モノは要らないのか、そう尋ねても首を横に振るだけ。
 本人がそう言っているのならしょうがない。
 どうせだったら本人が望んでいるように当日は盛大に祝ってあげようじゃないか。そう心の中で誓った時、尾形が不思議そうに私を見ていた。

「なに?」
「普通プレゼントやらなにやらはサプライズで渡すモノじゃないのか?」
「え?私にそれ言う?」

 無理だよと手を横に振るとフッと小さく笑い、お前らしいな、と言われた。
 その言い方がいつも谷垣くんに言うような嫌味っぽい言い方じゃなくて、心の底から嬉しそうだったから今更ながらときめてしまった。



****



 自分のデスクに戻ると、袋に入ったお菓子と文房具がいくつか置いてあった。
 見ると誰もが好きであろう北海道の銘菓とご当地キャラなのだろうか、焦点があっていない寿司のようなネタを背負ったキャラクターが書かれた付箋紙。
 誰が置いてくれたのだろうと辺りをキョロキョロ見渡していたら向かいの席の門倉さんが教えてくれた。

「出張から帰ってきた土方さんがみんなに配ってたよ〜」

 土方さんはいつも出張先でみんなの分のお土産を買ってきてくれる。
 私も何かお返しをしたいなとは思うのだが、生憎出不精なもので旅行も滅多に行かない。そうすると当然お土産なんてものはないから結局何も返せずにいる。
 しょうがないからと仕事で迷惑をかけないようにしてはいるが、それは社会人として当たり前だから、いつか何かしらの形で返そうと思う。

「門倉さんも頂いたんですか?」
「そう。俺はまりも。」

 門倉さんにピッタリなお土産にフフフと笑うと、土方さんがお昼から戻ってきた。
 すぐさま土方さんのデスクに伺いお礼を言う。

「土方さん、いつもありがとうございます。」
「いやなに、お前さんたちが頑張ってくれたから今回の仕事もすんなり行ったんだ。こちらこそお礼がしたいくらいだ。」

 なんて言われてしまい、午後の仕事も頑張らなきゃと気合を入れ直す。
 午前中に片付けられなかった仕事に手を入れていくことを決め、パソコンと向かい合った。



****



 気がつけば終業時間が一時間ほど過ぎていた。
 慌てて帰りの支度をして、その足でスーパーへと向かい、無料に置かれているレシピで良さげなモノを数枚拝借する。

 今日から料理の練習もしなければ!
 尾形と過ごす誕生日をワクワクしながら待っている。


 尾形のお誕生日まであと残り十日。

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