柳先輩は思ったよりも、
四月になり、小学校とは違う空気感、スケジュールで始まった新生活も一週間。少しずつ慣れ始めてきたところで部活の仮入部が始まった。前々から入りたいと決めてきたテニス部は予想以上にキツくて、でもそれ以上に楽しかった。
その日は担任に捕まり、手伝いを頼まれてしまって部活に顔を出せないどころか、外は真っ暗になっているほど遅い時間になってしまった。
部活とは違う疲労を感じながら電車に乗り、何気なく車内を見渡すと、隣の車両に部活の先輩とマネージャー先輩の姿があった。
(たしか柳先輩と夢野先輩だったっけ?)
データテニスを駆使することと、元々口数が少ない上に抑揚のない機械的な話し方が合わさり、なんとなく人間離れしてるなと印象を受けた先輩だったからよく覚えている。それとは別にマネージャーの夢野先輩は色々と親切に教えてくれたし、男子の中に混ざっているからすぐに覚えた。
そんな向こうがこちらに気付いている様子もなく、またこちらもまだ入って一週間も経っていない自分が覚えられているわけがないと、特に挨拶はしなかった。
しかし一度気付いてしまったら、気になってしまうのが人のさが。先輩達に気づかれない程度にちらちらと様子を見る。
とはいえ何か特別なことをしているわけではなく、お互いがそれぞれ好きなように過ごしているようで、柳先輩は本を読んでいるし、夢野先輩は電車の外を眺めていた。そして時々夢野先輩が柳先輩に話しかけて何か一言二言会話をしている。
きっといつもこんな感じで帰ってるんだろう。柳先輩の顔は部活の時とは異なり、少しだけ柔らかく、口角も幾分か上がっている気がした。
これ以上観察するのは、プライベートを覗き見するような感じがして、スマホを取り出し、ゲームをすることにした。
****
「〜〜、次は〜〜に到着します。お降りの方は……」
ゲームに集中していて、気がつけば最寄駅の近くまで来ていた。ハッと顔を上げ、周りを確認していると先ほど同様、柳先輩と夢野先輩の姿が見えた。
どうやら夢野先輩は寝てしまったようで、下を向いて電車の揺れに合わせてグラグラと揺れている。その瞬間ガクンと電車が揺れ、夢野先輩の体も大きく揺れた。
(倒れるっ!!)
危ないと思ったが、自分の手を貸すまでもなく、夢野先輩は柳先輩の方へと寄せられていった。
ごく自然に夢野先輩の肩に腕が回され、逃がさないと言わんばかりにガッチリと固定される。それだけの仕草なのに、他の人に触れさせてなるものかと強い独占欲を感じた。
そんな柳先輩を夢野先輩は知らないだろう。
ほら、今だって夢野先輩のことを蕩けるような、可愛くてしょうがないみたいな顔をして見ている。
その時、柳先輩と目が合った。うわっと思ったが?何か言うべきなのかもしれないと口を開きかけた時、柳先輩は薄く笑いながら口元に指を立てた。そして口パクで言ったのだった。
今見たことは皆には内緒だ。
柳先輩は思ったよりも独占欲が強いらしい。
その日は担任に捕まり、手伝いを頼まれてしまって部活に顔を出せないどころか、外は真っ暗になっているほど遅い時間になってしまった。
部活とは違う疲労を感じながら電車に乗り、何気なく車内を見渡すと、隣の車両に部活の先輩とマネージャー先輩の姿があった。
(たしか柳先輩と夢野先輩だったっけ?)
データテニスを駆使することと、元々口数が少ない上に抑揚のない機械的な話し方が合わさり、なんとなく人間離れしてるなと印象を受けた先輩だったからよく覚えている。それとは別にマネージャーの夢野先輩は色々と親切に教えてくれたし、男子の中に混ざっているからすぐに覚えた。
そんな向こうがこちらに気付いている様子もなく、またこちらもまだ入って一週間も経っていない自分が覚えられているわけがないと、特に挨拶はしなかった。
しかし一度気付いてしまったら、気になってしまうのが人のさが。先輩達に気づかれない程度にちらちらと様子を見る。
とはいえ何か特別なことをしているわけではなく、お互いがそれぞれ好きなように過ごしているようで、柳先輩は本を読んでいるし、夢野先輩は電車の外を眺めていた。そして時々夢野先輩が柳先輩に話しかけて何か一言二言会話をしている。
きっといつもこんな感じで帰ってるんだろう。柳先輩の顔は部活の時とは異なり、少しだけ柔らかく、口角も幾分か上がっている気がした。
これ以上観察するのは、プライベートを覗き見するような感じがして、スマホを取り出し、ゲームをすることにした。
****
「〜〜、次は〜〜に到着します。お降りの方は……」
ゲームに集中していて、気がつけば最寄駅の近くまで来ていた。ハッと顔を上げ、周りを確認していると先ほど同様、柳先輩と夢野先輩の姿が見えた。
どうやら夢野先輩は寝てしまったようで、下を向いて電車の揺れに合わせてグラグラと揺れている。その瞬間ガクンと電車が揺れ、夢野先輩の体も大きく揺れた。
(倒れるっ!!)
危ないと思ったが、自分の手を貸すまでもなく、夢野先輩は柳先輩の方へと寄せられていった。
ごく自然に夢野先輩の肩に腕が回され、逃がさないと言わんばかりにガッチリと固定される。それだけの仕草なのに、他の人に触れさせてなるものかと強い独占欲を感じた。
そんな柳先輩を夢野先輩は知らないだろう。
ほら、今だって夢野先輩のことを蕩けるような、可愛くてしょうがないみたいな顔をして見ている。
その時、柳先輩と目が合った。うわっと思ったが?何か言うべきなのかもしれないと口を開きかけた時、柳先輩は薄く笑いながら口元に指を立てた。そして口パクで言ったのだった。
今見たことは皆には内緒だ。
柳先輩は思ったよりも独占欲が強いらしい。