ヒソカの弟子 3年振りのルーキーハンターの肩書きと、金が稼げるかはまた別の話である。 ハンターカードでできることの幅広さに惹かれた気でいたが、自分の力を試したいだけだったと気づいたときにはすっかりやる気がなくなっていた。雇い主を探すのも、秘境に出向くのもめんどくさい。生活には金がかかる。選んだのは天空闘技場での賞金稼ぎだった。 50階までは相手にもならない。100階までは楽勝。200階までは、まあ、たまに骨のあるやつもいたが、秒殺。 潤っていく財布に、また闘争心が顔を出す。意外といけるのかも。自分がここまで上ってくるまで、200階以上の参加者の戦いは見られなかったから、未知数ではあるが、言うほどでもないだろう。 200階に足を踏み入れた瞬間変わった空気に、それ以上足が出なかった。澱んでいるような、突き刺すような痛みすらある こういうときの対処法 ワックスが流された柔らかい髪を撫でる。意外と猫毛で指通りがいいから、調子に乗って何度も梳いているがヒソカは静かなままだ。おれの“絶”はそれほどまで練り上げられたのか、いやそんなはずはない。じゃあどうして? 「気を抜いたね♠」 瞬時に地面を蹴り距離を取るが、ヒソカはベッドの上から動かなかった。片膝を立ててこちらを見る顔はいつもと違う無表情で、戸惑っているようにも見える。 殺気が来ないから、武器に手を掛けることもできない。おれは殺しに来たわけじゃないからだ。 「何をしに来たかと思ったら、何、僕と寝たいの♧」 「いや、まさか。ただ単に……試合前に修行の成果を試したいと思っただけだよ」 「ふぅん……♥ なかなかやるね♦」 自分の育てた人間が育ったことに喜んでいるのか、ヒソカはいつの間にか笑みを浮かべていた。「だが二度はないよ♧」しっかりと釘を刺して、ヒソカはベッドに再び横になっておれに背を向けた。許されたとは思えないが、いますぐ戦う気もないらしい。 「今度、ご飯食べに行きましょう。良いエスニックを見つけたんです」 返事は返ってこない。向き合ったまま、部屋を出る。自室に戻るまで気を抜くことはできなかった。 Top |