君の隣で眠りたい
「ん、……若……? またですかぁ……?」
「うるさいわばかめ。いいから入れよ」
夜中ごそごそとおれの布団を捲り、共に寝ようと若がおれの部屋に現れるのは冬になってもう三度目だった。温かい綿入れも広い部屋も与えられているはずなのに一体なぜなのだろう。眠い目をこすりながら優しく咎めるが、まったく届いていないようだ。
「そろそろおれが輝宗さまに怒られますよ……自分の部屋で寝られてください……」
「わしの言うことが聞けないのか?」
「若はまだ小さいんだから……早く寝ないと」
「なまえが共に寝ればよい話であろう」
全く引き下がらない若の体は子供らしくとても温かく、雪国に生まれながら寒さに全くなれていないおれにとっては有難いのだが、若はおれなんかの布団に入っていい身分ではない。
そもそもおれは一度怒られているのだ。お前が若と同衾など、と。子供と寝ることを同衾と言わないでいただきたい。おれは子供に手を出すほど鬼畜ではないのに。
若も若だ。この前忍び込まれた時、心地よい温かさに、動けなくなるぐらい若を抱きしめてしまったことを忘れたんだろうか。固い男の体に抱かれたって何も嬉しくないだろうに。
「若ぁ、早く部屋に戻らないと、朝まではなしませんよ?」
「な、な、はれんちだぞばかめ!」
「はぁ?」
ううむ。破廉恥とは身に覚えのない罪である。若はませているのだなぁ。おれ相手にその知識を披露したって何も言えないし眠過ぎてほとんど何も聞こえていないぞ。
ひゅう、と開けっ放しの襖から冷たい風が吹き込んだ。「さむい」と若が小さく呟いたのが聞こえて慌てて布団の中に引き込んだ。
「もう……今日だけですからね。明日はちゃんと一人で寝てくださいよ」
「わかっておるわ、ほら、抱いても良いのだぞ」
まるで誘っているみたいな言葉だ。笑ってしまったおれに不服そうな声があがるが深く布団を被せればすぐに寝息が聞こえてくる。まったく可愛い子供だなぁ。
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