冷たくならない
冷蔵庫に入れて置いたとっておきのアイスたちを見ながら、今日の夜食を選ぶ。時間は少し遅いが、空腹には勝てない。バニラ、チョコ、ストロベリー……まだまだある。ちょっとお高めのカップアイスたちは私のためのご褒美だ。
「うーむ……迷うな……バニラか、チョコか……」
「ん? 何してんだなまえ」
「……よし、抹茶だな」
私の前に現れたのは医療班のガヴィルだった。不摂生を咎められているうちに仲良くなったのだが、夜食なんて怒られてしまうだろうか。しかしその緑色の豊かな髪に、今から食べるアイスは一瞬で決まってしまった。抹茶フレーバーは私のお気に入りだし。極東の文化を取り入れた、というメーカーの言葉に惹かれて買ったのだが、その苦味の中の甘みと深みに虜になった。本物は甘くないらしいが、それもぜひ飲んでみたいものだ。
私の突然の抹茶発言にはぁ?という顔をしているガヴィルに、アイスを取り出して見せてみれば、ガヴィルの眉間にシワがよった。
「今何時か知ってるか?」
「あー! 時間の話をするんじゃない! 今日だけだからいいの!」
「ったく、この時間の食事は胃に悪いし肥満にも……」
「ほ、ほら! ガヴィルも食べなよこれ美味しいよ!」
ストック分の抹茶のアイスを差し出せば、ガヴィルは渋々黙ってを受け取った。よし、これで彼女も共犯である。美味しいものは分け合う方がいいし、良いことづくしだ。
ガヴィルはパッケージを見つめて考えているように見える。たしかに抹茶は珍しいし、食べたことがなくて当たり前だ。
「それ、ちょっと苦いから、チョコとかにしとく?」
「……いや、なまえはこれ食べるんだよな?」
「?うん」
「じゃあアタシも食べる」
ペリペリ蓋を捲りながら答えれば、まだ悩んでいる顔をしながらも覚悟を決めたように蓋を一気に捲った。
ぱくりと一口食べれば、大人な味が広がる。抹茶は美味しいが、いつもより美味しいのは、きっとガヴィルが居るからだろうな。
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