あなたとしたいの


スマホに流れてきたポケモンの結婚についてのニュースが目に止まった。文面には最近の風潮を取り入れたらしい『ポケモン自身の意志を尊重』だの『お見合い結婚』だの、人間と大差ない“婚活”についての内容が並んでいた。
ポケモンは人よりも短命であることが多い。だからトレーナーの中には相棒のタマゴを形見として育てる人も多い。それでなくとも子孫を残すことは生き物の本能だ。おれのインテレオンもそろそろ相手を探した方がいいのかもしれない。タマゴがなくとも、生涯の伴侶がいることはきっといいことだ。

「インテレオン、結婚する?」

ソファに座るおれにもたれ掛かる冷たい熱に話しかければ、黄色い瞼が持ち上げられた。長い足を組んだその姿はまるで人間で、おれよりもかっこよく決まっている。その目は「結婚とは何の話だ?」と言っていた。ここまで言いたいことがわかるようになるなんて、おれも成長したものだ。ずっと一緒にいるから当たり前ではあるが。種族を超えて仲良くなれるなんて、トレーナー冥利に尽きる。

「ほら、これだよ。お前も結婚とかしたいかなと思って」

画面を見せればインテレオンを顎に手を当てて考え始め、おれにちらりと目を向けた。こいつ、たまにこの目をするんだよなぁ。誘うような熱っぽい目。なるほど乗り気らしい。

「いやぁ、お前も♂だもんなぁ。おれは嬉しいよ」

脚に絡まってくる尻尾を撫でながら、スマホの画面をすいすい操作する。お目当てのウェブサイトを見つけ出し、その中からインテレオンのページを表示した。結構いっぱいいるし、これなら気に入る子も見つかるだろう。

「お前は♂だからタマゴは産めないし、♀のほうがいいよな? もちろん♂でも協力す──いってェ!!」

突如解けた尻尾から強烈なビンタをくらって吹っ飛んだおれ目がけて、ねらいうちによる水流が襲いかかってくる。
急に怒りだしたインテレオンに為す術なく逃げ回るおれは、怒らせた原因とご機嫌取りの方法に思案を巡らせていた。


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