青春真っ只中
ずっと恋していた。叶わないのは知っていたし、別にそれで良かった。たまに死ぬほど泣けてくる夜もあったけど、翌朝また会えたら元気になるんだから、おれは中々単純な男だ。そしておれは今から、この恋に蹴りをつけるため、わざわざハンバーガーを奢ってまで目の前の男を呼び出した。
「今日は、お前に言いたいことがあって」
「なに? そんなに改まってさ」
ポテトをつまみながら、いつも通りの雰囲気でカルマが言う。一緒に悪さやってたおれ達は、明日離れ離れになる。ドラマみたいなことは何も起きてない。ただ、カルマはE組に行って、おれは変わらず本校舎にいる。カルマがE組に行くことになったのは、おれが風邪をひいて学校を休んでる最中だった。
「ずっと好きだった。お前が」
思ったよりするりと出てきた言葉に、カルマは少し目を丸くして、何も言わなかった。
別にE組に行くからといっておれはカルマを嫌いにはならない。こんな制度おかしいと思うし、そんなのなくなって友達でいられる。会えなくなることもないだろうし。でも、ちょうどいい機会だと思ったから。叶わない恋なんか、捨てられるときに捨てねば。
「別に返事はいいから、ごめんな、気持ち悪くて」
客の少ない店の沈黙中にカルマがジュースを飲む音だけが聞こえる。もしかして、冗談だと思われてるのかな。別にいいけど、なんだか少し悲しい。
「それって、もう時効なの?」
「え?」
突然言われた言葉は、初めちっとも頭に入ってこなかった。時効?そんなわけないだろ、現在進行形でお前のこと好きだわ。何も言えないおれを置いてカルマは続けた。
「まだ過去形じゃないなら、チャンスはまだあるよってこと」
ごちそうさま、と席を立ったカルマの後ろ姿を、カルマが店から出るまで見つめ続けていた。そしてはっと立ち上がる。トレー片付けてないとか、おれのジュースもポテトも手をつけてないとか気にしてられなかった。
追いかけなきゃ、カルマがくれたチャンス、ちゃんと掴まなきゃ。捨てかけた恋をもう一回拾い上げ、おれは走り出した。
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