届かないなら教えてよ


「ルーリナちゃーん!」

ポケモンジムから出てきたルリナちゃんに声をかける。まったくの偶然だ!まさかこんなところでルリナちゃんに会えるなんて!本当に偶然だよ、いやほんとに。

「あら、カルトじゃない。仕事終わり?」
「うん! 仕込み終わったから帰るんだ」
「そうなの」

ジムリーダーは本当に大変だと思う。だって勝つだけじゃいけない。重要なのはチャレンジャーの力量を見極めることなのだから。それは相当なプレッシャーのはずだ。でも彼女はジムリーダー以外にモデルもこなしている。
まったく、どこでこんなに差がついたやら。子どもの頃は、走るのもポケモンバトルも私のほうが上だったのに。バトルに関しては初めの一瞬だけだったが。
今じゃ私は平凡な料理人。レストランに務められたはいいものの、毎日仕込みと買い出しばかりだ。どこで差がついたのかなぁ、本当に。

「あ、そうだ。カルト、またうちの魚買ってくれたんでしょう。ありがとうね」
「ううん! ルリナちゃんパパのお魚美味しいし種類も多いし助かってるよ」

ジムリーダールリナがあんなに人気なのは、強さや美貌だけではない。その性格もその一因だろう。優しくて、負けず嫌いで、気遣いができる。こんなに完全無欠の人間がいるだろうか。もはや嫉妬の感情も湧かない。
むしろこんなすてきな人と幼なじみで友達なんて、恵まれているでしょう?
たとえ一番の友達じゃなくても、何の力にもなれなくても。絶対に叶わない恋心を抱いてしまったとしても。

「またカルトのご飯、食べたいな」
「ほんとう!? じゃあ今度作って持っていくよ。何がいい?」

ちょっと困ったふうに笑ったルリナちゃんに、社交辞令であることに気づく。あーあ、どうせなら早く確実なトドメが欲しいな。

「カルパッチョか、あぁ、フライでもいいわね」
「そうだね、じゃあまた今度ね」

でも、まだ友達でいたいのはわがままだろうか。


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