Steal Shot

クオリア
定期試験 チームSteal Shot


 異臭が近づく。先ほどまでほのかに鼻をかすめていたそれは、異常なほどの悪臭として辺りに漂っていた。
「信じらんねえくらい臭えな」
「ねー! めちゃくちゃ臭い!」
「……騒がしい。敵に気づかれるぞ」
「賑やかでええやないの」
 緩やかな緊張感のもと、よく回る口が隣でうるさい。こいつの兄とも一緒に戦ったことはあるが、これほど兄弟で変わるものだろうか。厳しい顔を崩さないパトリックはメガネをくいっとあげた。半ば初めてに近いネゴザ、という先輩は飄々とした態度を崩さなかった。良くも悪くもマイペースなチームである。
「あ……いた」
 木々が少しひらけた場所に出る。とっさに木陰に隠れ、様子を伺った。
「エルベールとヒイラギが前衛、私とヘビノ先輩は後方から支援します。いいですね?」
「わーってるよ。俺はとりあえずこれで殴る」
 右手に持っていた鉄パイプを担ぎ直す。リンは笑顔を崩さず、了解、とゆるく頷いた。
「触手はわしらがどうにかするけ、好きに動きんさい」
「じゃ、クオリアちゃんがんばろー!」
「足引っ張るんじゃねえぞ」
 全員が臨戦態勢にはいる。パトリックの強化魔法が体を纏った。リンと目を合わせ、一度頷くと走り出した。
 リンの武器である鉄線がしゅるしゅると音を立てて生き物のように動き始める。木陰から現れた俺たちを見たラフレシュの視線はしっかりと俺に向かった。その隙に、リンがまた上空へと動く。悪臭を気にする隙間もなく、鉄パイプを振り上げた。狙うは頭、すぐに終わらせる。
「っ、」
 迫ってきたのは無数の触手だった。走りながら弾いても弾いてもそれの追随は止まない。
「……クソッ、一回下がるか……!」
 足が止まりそうになる。臭いが脳裏に蘇った。胃を抉るような吐き気がこみ上げる。その時。
「エルベール!」
「支援するゆうたよ」
 綺麗な軌道を描いて俺の横をを鍵とボウガンの矢が通り過ぎた。迫る触手を一つずつ的確に弾くそれは、見事に獲物の頭までの道ができた。
「リン!」
「はいよ! ……っと!」
 身を潜めていたリンが急降下する。両手に握られている鉄線がラフレシュに絡みつき動きを止めた。体に向かって蹴りを入れ、その場に着地するのを見届けて俺は走り出した。
「……っ、クセェんだよ!」
 振り上げた鉄パイプをラフレシュの頭に思い切り突き刺した。悪臭を撒き散らしながら、うごめいていた触手たちはぱたり、ぱたりと落ちていく。
「終わった……感じかな?」
「う、とりあえずくせぇから離脱するぞ! さっさと風呂入りてぇ……」
 どろっとした液体がまとわりついた鉄パイプを振って落とし、後から追ってくるリンを待って後衛の二人の方へ歩き出した。

このあとめちゃくちゃ風呂に入った。
定期試験チームSteal Shotメンバー お借りしました。
ネゴザ・ヘビノさん(@4673kanata)
ヒイラギ・リンくん(@ponrete)
パトリック・グレイくん(@inuinu_1111)
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