ネーベル・アイ。本体の目が派生した手をコピーの魔力によって相対した敵に擬態させ、戦わせる魔物だ。その生態は実のところ一切不明であるが、ネーベル・アイを討伐した場所に植物を植えるとよく育つとの噂を聞いたことがある。
はっきりいって、非常に厄介な相手ではある。一人で戦う場合、個体数で言えば三体と同時に戦っているようなものだからだ。今回は戦闘学のグラから勧められ、フィールドに立っている。
戦い方はいくつかあるだろうが、未だに悩んでいる。何が一番効率的なのか。
「始めるぞ」
「はい」
例のごとく、グラの指がパチン、と鳴る。同時に檻が消え、ネーベル・アイが登場した。
「
Dia della terra, Dia del cielo. Dare quel beneflcio」
ネーベル・アイを倒すには本体である目を破壊しなければならない。ただ、片方の手は俺の姿に擬態し、もう片方の手はひたすらに目を守る。まずは俺の方からか。
「
Il nostro una spad」
ある程度の鋭さに剣を生成する。動くのはあまり得意じゃないが、擬態した方からこちらへやってくるから問題ない。
「
Fioritura di fioriterra」
地面から土を伸ばし、擬態している俺の足を止めた。擬態はどこまで行われるのかもあまりわかっていないが、やるだけやるしかない。
剣を構え、擬態している俺の体に突き刺す。それは的確に心臓を貫いたと思ったが、俺の像はやがて揺れ霧散する。と同時に本体付近からズズ……っと手が再度生まれた。
なるほど。無限わきというわけか。ならば、倒さなければいい。
「
Gubbie della terra」
擬態した俺の周りから土の檻が生まれ、動きを封じる。魔力は徐々に漏れ出していくが仕方ない、俺自身に邪魔されては余計に魔力の無駄遣いになるだろう。
「
Coagulare il nostro signore」
ネーベル・アイの本体は徐々に地中へと潜り始めている。その部分には穴が空いており、その上に片方の手が浮いていた。このまま土の塊を落としても全て手に阻まれるだろう。ならば。
「
Pioggiove il suolo」
俺の背後に穴を開ける。頭の中で土の中をイメージし、徐々に穴を掘っていった。ネーベル・アイの本体を探す。どこか、ぶつかるはずだ。ふと、手の反応を見ているとあるところまで行ったとき手が反応した。慌てて土の中へ戻って行くようだ。
「
Les ciao giu」
軌道を描き、背後の穴から土の塊を連続して投入する。何かにぶつかった感触を頼りに、いくつもいくつも入れていった。やがて。
「……魔物の生体反応消失。戦闘終了、戦闘時間一分五十二秒」
「ありがとうございました」
気づけば捉えていた俺の擬態した姿はなくなり、檻とともに土に戻っていた。
ネーベル・アイ