すごいちーむ!

アルミリア
ゾンビドラゴン討伐



「状況は……こちらが少々有利と見えますが」
「同感」
 となりで微笑む男はマナ・クレインと名乗った。ユールヒェン・ハーゼが生成していた木属性魔法の蔦がたった今、ゾンビドラゴンによってちぎられたところ。ゾンビドラゴンはその巨体を揺らし、辺りに毒を撒き散らした。とっさに無属性魔法で魔力障壁を生成する。この人数全員を守り続けるのは流石に難しい。
「ユールさん、そちらの方も、遠距離攻撃なら私の後ろに!」
「っ、はいなの!」
 頷いて私の背後にまわった二人から魔力障壁をとる。体の中に魔力が戻る感覚がした。その場にいる全員にはすでに強化魔法を施し終えている。ここから私がやるのは全力のサポートだけだ。
「ユール、いまのもういちどできる*?」
「ユールはまだまだできるの!」
「じゃあ、またいっしょにあれのうごき、とめよっか*!」
 その場にはそぐわないほどの穏やかな声が響く。その声の主は……あの種族をなんというのか、私は未だに知らないのだが、全身が水でできいるかのような生徒だった。ローブの隙間から見える体は確かに水のそれで、体も常に形を変え続けている。一度喉を鳴らしたユールが再度両手を地面につけ、一拍おいてゾンビドラゴンの周囲から蔦を動かし始める。液状の彼女が体の体積を徐々に増やし続けている。
「今です!」
 液体状の彼女が空中に飛び上がる。体の一部なのか、あるいは水属性魔法なのか、液体がゾンビドラゴンの体にはりついた。ひどく暴れる体は二人の魔法によってなんとかその場に留まり続けている。
「はいよっと!」
 マナの鎖鎌が頭を捉える。私の背後から栗色の髪をひとつにまとめた少年がクロスボウを構えた。その矛先はおそらくゾンビドラゴンの胸元にある何かだ。バシュッと小気味のいい音を立てて私の横をクロスボウの矢が立て続けに何本も発射される。魔力で補正されているのか、彼の狙いがいいのか、華麗に胸元の何かを捉えたクロスボウの矢はそこに突き刺さって破壊する。今一度ゾンビドラゴンが咆哮し、悲鳴をあげた。拘束しているユールと、液状の彼女の表情が少しだけ険しくなった。
「ゆくぞ」
 短く呟いた声がはっきり耳に届いた。前衛に立っていた少年……否、青年か、ゾンビドラゴンとのサイズ差はかなり大きい生徒が動く。その横にいた獣人もまた、手に持った盾と拳を握りしめ駆け出した。
「……決定打がまだ」
「僕もそう思う。動きを弱めることはできてもまだ……」
 隣で唸る青年はクロスボウを構えたまま呟いた。次点の攻撃は、ゾンビドラゴンに生徒が集まっているせいで出しにくくなっているのかもしれない。
 飛び上がった獣人と少年はその拳を合わせてゾンビドラゴンの頭めがけて振り下ろしている。頭はマナの鎖鎌によってその動きを封じられ、なすすべはない。でもまだ足りない。瞬間的にあの拳の重さを変えられれば? マナの弱体はかかっているものの、それだけじゃ無理だ。あそこに集中して、瞬間強化さえできれば……!
「……シールド!」
 二人の拳に魔力障壁を張る。そこから魔力を流し込みなんとか瞬間的に強化を施した。スローモーションのように目に映ったそこからの景色は、鮮やかだった。
 二人の拳がゾンビドラゴンの頭にのめり込む。タイミングを合わせてマナもその鎖を引いた。メリメリと音を立ててちぎれていくその頭は息絶えるまで咆哮をやめなかった。
 頭がゴロンと地面に落ちた時、液状の彼女がすごーい、と呟いたのがどことなく面白くて、少しだけ笑った。

ゾンビドラゴン討伐チーム:なんかすごいちーむ!
(アルミリア視点上、お名前がほとんど出てないですがいます)
ウルプ=スラ=アウルプちゃん(@tetoi_nu2ca)
テクト・ウスラさん(@koffiex)
マナ・クレインさん(@Na_zak1)
ユールヒェン・ハーゼちゃん(@Na_zak1)
山口試練くん(@29am18)
日照ひゆくん(@4673kanata)
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