意気投合?



 手持ち無沙汰にブラブラと森の中を歩く。時折出てくるマネルを殴っても、奴らは一撃で大抵は死んでしまうからつまらない。ポケットからイチゴ味のガムを取り出して口に放り込む。木の匂いに混じって、人工的なイチゴの香りがほんのりと広がった。
 ガサガサっと音がする。マネルか? と構えたが現れたのは知らないアッカの生徒だった。
「お前……」
 誰だ、と言い終える前にその生徒が背後から殴られた。前のめりに倒れた生徒の尻にはもう何度も見た尻尾。攻撃の構えのまま先ほど見たのと同じ生徒が立っていた。お互い何も言わずしばし見つめ合う。だいぶ背の低い生徒だが、経験達者な雰囲気が漏れ出していた。
「あ。俺、マネルじゃねえぞ」
「わかっておる。して、そちこんなところで女子一人、何をしている?」
 制服からしてアッカの生徒だろう。同じ生徒ならわかるだろうに。紛れもなくマネルやミラージュをぶっ殺すためだ。
「討伐」
「そち一人か」
「おう。お前も一人だろ? ま、戦闘力は同等くらいだろ」
 風が吹いた。木々がざわざわと音を立てる。再び俺たちの間には静寂が訪れた。コンマ一秒後。動いたのはどちらが先か、両脇から飛び出してきたマネルの腹にお互いの攻撃が叩き込まれた。俺の鉄パイプと目の前のアッカ生の蹴りが華麗に決まる。ドサっと倒れたそれぞれのマネルを見下ろしていた。
「やるじゃん。俺はクオリア、クオリア・エルベール」
「こちは日照ひゆ。……あまり見ない顔だが、一年か?」
「おう。アンタもか?」
「こちは五年だ。もう十何年も学園におる」
 日照りはそう言って少し気まずそうに視線を落としたが、俺は特に気にしなかった。そもそも留年予備軍と教師の間で言われているのを俺は知っているし、実際一年とちょっと前までは文字すら読めなかった俺がそんな簡単に進級できるわけがない。
 会話をしている間にも俺たちの周りには少しずつマネルが集まってきていた。敏感にやつらの動きを気にしながらも、なんてことないことのように日照の視線は俺にあった。
「ひとまずここにいる奴ら全員、ぶっ殺す」
「ああ、それには同意だ。生ぬるいのは好まぬ。覚悟はできておるな?」
「当然。こんくらい余裕っしょ」
 それが開戦の合図だった。
 日照は左のマネルにまず手刀を見舞う。かなり強烈な一撃は意識を奪い、直後腹に受けた膝蹴りで完全に命を絶たれた。そのままの流れで横にいた別のマネルの首を掴み、片腕で締めた。
 俺も負けてはいられない。鉄パイプをマネルにひと突き。引き抜いた時の返り血がビシャッと地面に散らばった。倒れたマネルの後ろから現れたマネルの顔に鉄パイプをフルスイングする。
 一度背中合わせになる。日照の肩が背中に当たった。視線がずれて、俺の姿をしたマネルを日照の反対側に捉えた。彼の頭の上をすり抜けて鉄パイプが俺の首を正面から突く。日照もまた、日照の姿をしたマネルに攻撃を仕掛ける。俺の開いた足の間をくぐり抜け、マネルの足元を蹴り飛ばす。前のめりに倒れて来たマネルの腹に下から重い一撃を入れ、マネルの体は後方に吹っ飛ばされた。
「なるほど、そちが一人で歩いていたのにも納得した」
「お前こそ。ちっせぇのによくやるな」
 再度、戦闘態勢に構えた二人の周りにマネルが押し寄せる。自分たちから死にに来るなんて、物好きな奴らだと口元が歪んだ。

日照くん(@4673kanata)と共闘


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