「休憩はこれで終わりみたいだな」
ユールの作り出した木を登ろうと躍起になっているマネルたちを見下ろした。数はそれほどいない。この程度なら一人でもなんとかなるだろう。隣にいるユールを見やる。初めて出会った時からだいぶ強くなっている。彼女を取り巻く環境が徐々に変化していったのだろう、きっといい人たちに出会ったのだ。
彼女が強くなったのなら、もっと彼女に戦わせたい気持ちはある。強くなるのは大事だ。身を守るためにも。
「ユール、この上から援護できるか」
「できるの! でも……もしクオリアねぇねに当たっちゃったら……」
「余裕。そんくらい避けられる。俺が撃ち漏らした敵をやってくれ」
頭を撫でると感情を少し食べたのか、ユールは可愛らしく笑った。
真下にいるのは三匹。少し離れたところに二匹。上から確認できるのはこのくらいだろう。一瞬ユールに視線をやって飛び降りる。髪が空気に抗って逆立った。
「一体目!」
握りしめた鉄パイプの先がマネルの頭に突き刺さった。血液が吹き出したところで、ユールがいるのを思い出す。ヤベェ、こんなの見たら……。着地と同時に振り返ったが、ユールが顔を出す前にマネルは元の姿に戻ったようだ。人体の状態でユールの目に触れなくてよかった。
「ねぇね、右なの!」
「おう!」
ユールの構えた矢は俺から見て左のマネルを捉えている。あの子なら大丈夫だろう。完全に背を向けて任せ、もう一匹のマネルと対峙した。さして強くはないだろう。顔の前に鉄パイプを構えて思い切りフルスイングした。ゴッという音とともにマネルがそのまま横に倒れた。
「ひっ、ね、ねぇね……」
「あ、悪い。あんまり俺の方見んなよ」
「う、ううん! そうじゃないの、マネルが……」
彼女のいう通り、マネルがわらわらと集まり始めていた。必死でユールの作った木を登ろうと、根元に集まっている。俺じゃなくてユールが狙いか。ならなおさらやりやすい。
「援護頼む!」
まずは一匹、後頭部から殴りにかかる。的確に急所に当たったのか一発でマネルの体から力が抜ける。すぐ横にいた二匹目が俺に気づいた。足元を蹴り飛ばし、体を仰向けに倒すと腹めがけて鉄パイプを振り下ろした。飛び跳ねた血を片手で拭う。ユールの弓が俺のすぐ後ろにいたマネルに突き刺さった。
「あとちょっとなの!」
「よっし、やるか!」
鉄パイプを宙に投げる。とっさに魔法で強化させ、無属性魔法で薄く伸ばした。持ちやすくなったと同時に鋭くなったそれはマネルを一撃で殺すにはちょうどいいようだ。右手で落ちてきたそれをキャッチして構えた。
ユールちゃん(@Na_zak1)と共闘