あいも変わらず修練棟はだいぶ賑わいを見せていた。そこら中で飛び回る味方も多少は犠牲にして地面を揺らし、穴を開け続けている。それほど前衛に行かなくともきっと他の奴らがやってくれるだろう。
その時、くいくい、と制服の裾が引っ張られた。振り返るとそこにいたのは少しくすんだ青色の髪を持ち、月のような瞳をうっすら細めているクロー生だった。喋れないのか、やたら身振り手振りで何かを伝えようとしている。
「どうしました?」
一回ではわからなくてなんだろう、ともう一度聞くと、彼はむすっとした顔をしたあと、俺の腕を引いた。後ろで何かがぶつかる音がして振り返ると、十時の部にいたあの少年の武器と、クローの青年の腕から出た針金のようなものが接触していた。フードの中からぎらりと彼の濃い碧眼が覗く。
「
Torreggiante muro di terra」
そう言うことかと理解して早急に隔たりを作った。おそらくは彼が迫っていることを教えてくれようとしていたのだろう。彼の針金が土壁の隙間を通ってアッカの少年に向かっていく。見えていないのに、何か感覚で行なっているのだろうかクローの青年はもういいぞ、と言うかのようにこちらを見て頷いた。
その合図通り土壁を消すとアッカの少年は無数の針金に巻き付けられて動きを封じられていた。なるほど、これがやりたかったのか。
「どうする?」
しきりに地面を指差して、手のひらを下に押し込む動作を繰り返している。穴を開けろ、と言う合図か?
「
Pioggiove il suolo」
ちょうどアッカの少年が立っていた場所に穴を開けると、彼はすぐに動いた。まず少年を穴の中に放り投げ、その捕縛を解くとすぐに穴の上面に格子状の針金を貼る。その時間は目をみはるほど早く、アッカの少年の逃げうる隙を与えなかった。
満足そうに穴の中を覗き込み、ニコニコと笑う彼の頭にぽん、と手を置くと、彼は振り返って嬉しそうに笑った。手を振って別れる。脅威になるだろうアッカの少年の足止めに成功して、少し嬉しかった。
交流祭 修練棟16時の部:クロー側
ちいくんと一緒にターヴィくんを足止め!(@utatane__zZ)
二人の名前をレイは知らない。