「サンキュ、ルイディナ」
ルイディナの持つ杖から出た強化用の結晶が僕とノラの体に当たる。体の中で力の高まりを感じた。何もしていないのに自然と生まれてくる鬼火を体の外に放出していく。
「で、作戦は?」
伺うように一つ目が僕を見た。見慣れない種族のせいで少しだけ緊張する。
この場に集ったのは三人だ。強化属性のルイディナ、火属性の僕とモノフラルゴ……もとい、ノラ。敵は金属性のアイアンタートルだから僕たちの方が圧倒的に有利だ。
ただ、ノラも僕もそこまで戦いに向いている方じゃない。一体の大型の魔物より大量の小型の魔物を相手にした方がいいタイプの戦闘方法だ。つまり小回りが利くけど大きな攻撃は難しい。でも。
それは一人だったらの話だ。
「アイアンタートルは大した攻撃をしてこない。殻が硬いだけでそんな脅威じゃないし」
「そうね。動きも速い訳じゃないから仕留めやすさはあると思う」
「でしょ。問題は硬さ。物理攻撃はまず通らない、でも魔法攻撃なら」
「魔力の込めた炎で焼くってこと?」
二人の言葉にウインクして肯定を示す。ノラは合点がいったように頷いた。ルイディナの表情はポワポワしていてわかっているのかわかっていないかわからない。
「僕だけ、ノラだけの炎じゃ、ルイディナの強化をもらっても無理。大きさも威力も足りない。でも、僕たち二人の炎を合わせたら?」
「あ! なんとか倒せるね!」
「そ。でも炎が大きくなればなるほど制御も難しくなる。一回で焼くならアレの動き止めなきゃね」
ルイディナは戦闘向きではない。考えろ。どうしたらアレの動きを止められる?
ノラの武器は炎を使用したスタンガンだ。僕の武器も短刀やクナイのみ。うん、これはもう、仕方ないか。
「ルイディナが囮になって」
「え!?」
耳と尻尾がピンと動く。相変わらずわかりやすい子だ。
「アレの前に一人で出て行けば嫌でも睨み合いになるでしょ。座標指定の魔法なら威力もさらに高められるし」
「危険じゃない?」
「だーかーら、その前に殺ればいいでしょ?」
割と無茶苦茶な作戦……とも呼べない代物であることは理解しているが、一番手っ取り早く確実に殺せる方法だろう。こんな面倒な試験さっさと終わらせて部屋に戻りたい。ルイディナにいい? と視線で尋ねると、うう、と唸りながら渋々頷いてくれた。耳がペタンと垂れている。
「もしマジでヤバくなったら僕が助けに入るし、アンタもできる限りの防衛はしといて」
「うん、わかった。大丈夫、なんとかなる!」
「ん、頼もしい」
ノラと連れ立ってアイアンタートルの死角へ移動する。少しおどおどしたルイディナが杖を振って無属性魔法のシールドを貼った。そのままアイアンタートルに近づいていく。
「亀がルイディナに気づいて動きを止めた瞬間、あそこめがけて燃やすよ」
「わかったわ」
ちょうどルイディナと亀の間が数メートルになる。息を吸い込んだ音が耳元で聞こえた。指先が動く。座標指定、アイアンタートルの真下から突き上げるように炎を巻き上げる。僕の炎はどんな温度でも基本的に青い。ノラの赤い炎と僕の青い炎が混ざってアイアンタートルを包み込んだ。熱気と蒸された空気が同時に僕たちのいるところまで飛んできていた。
「う、うう[D:12316]、暑い[D:12316]!」
見事に黒焦げになったアイアンタートルを横目に、ルイディナがこちらへ逃げてくる。そういえば、彼女は暑いところが苦手だった。うっかり忘れていたなぁ、とどこか遠いところで考えていた。
定期試験 チーム:凸凹五年生
ルイディナちゃん(@kaisen_kikaku)、ノラちゃん(モノフラルゴ・フランベ/@custa_cream)