晴れの日の空を思い浮かばせる空色の中に、濃いグレーの耳がピョコピョコと動いていた。琥珀色の瞳をパッチリと開き、ほんの少し鋭い八重歯を覗かせてニコニコと笑っている。
「よろしくねレイ」
アッカを前に構えた彼女は、改めて俺の名前を尋ね、そして勢い込んでよろしく、と笑った。毛並みの良い尻尾がふわふわと揺れている。彼女が俺の名前を聞いたのはいいものの、俺は彼女の名前を知らないということを彼女は忘れていないだろうか。
「あー……君、の名前は?」
「あっ、言ってなかったっけ! あたし、ローナ!」
初対面であることを忘れているかのような口ぶりに思わず吹き出した。こちらの雰囲気に痺れを切らしたのか彼らが動いた。
「
Dia della terra, Dia del cielo. Dare quel beneflcio」
「わ、すごい短気だね!」
基本詠唱と彼女の声が重なった。数名の属性で構成された複数名のアッカチームは殺気をだだ漏れにしながら迫る。
「
Pioggiove il suolo」
数名のアッカ生の足元へ穴を開ける。見事に足を取られた生徒も、あっさり浮き上がった生徒もまちまちだ。少しは削れただろうか。
ローナが手に持ったメイスを体の正面に据え、魔力を流し込んでいる。徐々に彼女の周辺に水が浮遊し始める。一つの生き物のようにある一定の大きさを保った水は、彼女がメイスを動かすと同時に蠢いていく。
「攻撃、いくよー!」
元気よくメイスを一振り。彼女の周辺を漂っていた水たちは、その大きさを徐々に増やしながらアッカ生を数名飲み込んでいった。
「すごい……」
「ほんと? ありがとう!」
「この調子でもうちょっとポイント稼ぎますか」
「うん! 頑張ろう、レイ!」
彼女の水に目くらましされた奴らの足元に、さらに穴を開けていく。滴り落ちた水によって泥っぽくなった土たちは、攻撃にひどく適応する。
「
Coagulare il nostro signore、
Les ciao giu」
泥を固めて浮遊させ、生徒一人一人に頭の上から落としていく。すごーい! と笑うローナもまた、攻撃の手は休めない。お互いに広範囲魔法を得意としているせいか、フィールドはさらなる混沌を極めていった。
修練棟 16時の部
ローナちゃん(@h2o_pinus02)お借りしました! 敵はイマジナリーアッカです。