たまにはいいじゃない?
「あれ、ノラじゃん」
お昼時。食堂でふと、見知った後ろ姿を見つけて声をかけた。ひとつ目の顔がくるっと振り向いて、ほんの少しだけリアクションをとる。
「定期試験以来? あんまり会わないもんね」
「あんた、授業出ないもの」
「だって卒業したくないし。授業出たら成績取れちゃう」
少しムッとした非常になった彼女に、少し笑う。向かい側の席に腰を下ろして持っていた昼食を広げた。
「午前中何してたの?」
「んー、別に特に何も。今日は暇だから、午後くらいは授業出ようかなって思ってたけど……」
目の前で食事をするノラを見つめる。定期試験で突発的に集ったチームでもノラは真面目にやることをやってくれた。出す意見も真っ当なものばかりで、彼女はひどく真面目なのだと理解した。多分、まぁ留年はしているらしいけど、授業をサボるなんてことめったにしないんだろう。
それに、彼女は子どもっぽい人が嫌いだ。僕は何故か受容されているから子供っぽくないと捉えていいのかもしれない。
「けど、なに?」
「ね、一緒にサボろうよ」
「はぁ?」
素っ頓狂という言葉が似合う声を出した彼女は訝しげな目で僕を見つめた。
「いーじゃん。ノラ、ずっと授業出てんでしょ? 一日、いや半日くらい大丈夫よ」
「そんな……授業、ついていけなくなるし」
「僕が教えてあげる。ね?」
声は徐々に余所行きの雰囲気が漏れだしていた。無意識に媚びている時特有の声を出しているのかと気づいたとき、割れながらそんな必死になるかと苦笑する。
「信用ならない」
「ひどぉーい」
近づけていた自分の体を引き離す。ノラの視線がほんの少し揺らいでいた。あともう少し、押せばなんとかなるかもしれない。
「ね、ノラ。たまにはいいじゃない?」
微笑んだ僕の顔を見つめたノラの、口元が頷くまであとすこし。
モノフラルゴ・フランベちゃん(@custa_cream)と茉紘