星の降る夜
「……アイさん。何してらっしゃるんですか?」
だいぶ星の綺麗な夜だった。月が出ていないせいもあってか、闇は濃く、空には星々がまばらに瞬いている。なんとなくそんな夜空が見たくなって、ぼんやり歩いているとかなりの巨体を見つけた。
彼女はアイヒェル・シュテルン・シュタルクという。巨人族であるゆえに、その体はかなり大きい。だいぶ見上げたところから彼女が私を見下ろして表情をフニャリと柔らかくした。
「アルちゃんー! お星様を見てたんよー」
「今日は星がだいぶ綺麗ですからね」
中庭の一角に座り込んで空を眺める彼女はひどく楽しそうだった。それだけ身長があれば確かに空も見やすいだろう。周りの光が届かないところからも見れそうだ。
「アルちゃんはー?」
「散歩です。私も星を見ようかと思いまして。よければ、ご一緒してもよろしいですか?」
「もちろんー! 一緒に見ようー」
隣に座る。鼻歌を歌い始めた彼女の瞳がキラキラと夜空の星を写し取っていた。
「ご機嫌ですね」
「星空、大好きなんー。キラキラしてて、こういう日の夜は特に綺麗やんねー」
「ええ。アイさんなら星に手が届きそうですね」
少し驚いたような彼女の瞳が改めてこちらを見た。どうされました、と口には出さず、小首を傾げて尋ねるとどこか、少し寂しそうに微笑んだ。
「届いたらええねー」
いつもと何も変わらない調子の彼女の様子が少しだけ引っかかったが、星の光に紛れて消えてしまった。一心にまた見つめ始めた彼女の横顔から少しだけ視線を動かして、夜空に瞬く宝石に想いを馳せた。
アイヒェルちゃん(@mamuramura)とアルミリア