ひとりがふたり

茉紘
修練棟 16時の部


「……どういうこと?」
 目の前に立ちはだかるピンク髪の男たち。揺れるポニーテールとニヤついた笑顔がいやらしく、こちらを見据えている。
 不可解なのは同じ顔が二人いるということだ。ちいとヒルデも困惑の表情を浮かべている。
 どちらにせよ、相手がアッカならば倒さなくてはならないと動き出そうと構えた瞬間。二人のうちの一人の口角が上がった。
「なんてな! すまんが嬢さん、姿だけ借りてくよ」
 途端にヒルデの姿を写し取った彼がUターンする。
「は……はぁ……?」
 偽物はこっち。それがわかった今、相手がヒルデの姿をしていても関係ない。アッカならば殺るだけ。惚けたヒルデをそのままに、彼……否、偽の彼女を追いかけようとした。
「おっと、そうはさせないよ」
 案の定、本物のピンク男が目の前に立ちはだかる。他の奴らに構えばいいものを。振りかざしたクナイと彼の杖が交差した。即座に背後から針金が応戦するのがわかる。杖をがっちりと固定し、既に彼の武器の動きを封じ込めたように思えた。
「なっ……ずるい!」
「心外だな、頭がいいと言ってほしい」
 固定された杖の中からするりと彼はレイピアを抜いた。その切っ先は迷いなく僕の顔を狙う。右腕のクナイで防ぎ、鬼火を彼の視界を奪うようにして並べた。後退する。
「動きが早い、あとムカつく。ヒルデ、ちい」
「なんとかアレを封じればよいか?」
「そうだね。二人ともちょうど金属性だし、うまくやって」
 深刻そうな顔を作って頷いたちいの表情は、すぐに楽しいを具現化したような腑抜けた笑顔に変わる。はァ、と一つため息をついて額をぺしっと叩いても、彼の笑顔は崩れない。楽しいのだろう。
 きっとヒルデも……いや、僕だって楽しい。心臓というものがあるのなら、その奥深い底から何かがどんどん湧き上がるようだ。
「準備はもういいかい? さぁ、改めて始めようか!」
「三対一で何を始めるって? 舐めるのもいい加減にしてよね!」
 駆け出した僕に合わせて二人の金属性も動き出す。クロー三人にアッカ一人。できることなら派手に打ち上げたい。ひとつ、巨大な鬼火が目の前ではじけた。

修練棟 16時の部
エクサルフォくん/クローバーくんのすがた&ヒルデちゃんのすがた(@KaEdE0928_s)、クローバーくん(@sick_oekaki)、ヒルデちゃん(@Kina_mochi)、ちいくん(@utatane__zZ)お借りしました。混戦楽しいー!
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