次なる魔物を探そうと掲示板の前へと赴く。同様の考えを持った生徒は他にもいるようで、僕よりさらに小さなシルエットの少女と数匹のオツキミ種たちがわちゃわちゃとその場で騒いでいる。ペットか、と心の中でつぶやいたが自分にはあまりしっくりこなかった。自分の面倒すら見れてない僕が他の動物の面倒など見れるわけがない。
「亞くん!」
「う、わあ!」
やけに明るい声とともに肩をポンと叩かれた。驚いて振り返るとそこには同じクラスのウィエ・ミシェーレの姿。彼女も底抜けに明るく、そして何事にも一生懸命だ。僕とはまるで正反対のような人。だからこそ僕にも声をかけてくれているのかもしれない。
「ごめんなさい、驚かせちゃったかな……?」
「い、いえ、大丈夫です。ウィエさんも、その、魔物棟に?」
「ううん、私は通りがかり。亞くんはどの魔物にするか決めました?」
彼女が喋るたび、なめらかな黒髪と真っ白な翼が揺れる。彼女の快活さを表しているようで眩しかった。
「まだなにも……」
そういえば、と彼女を見る。彼女は僕に比べたら何倍も優秀で何倍も真面目だ。何かの参考になるのかもしれない。
「あ、あの、僕は攻撃能力が、低くて。やり方がわからない、というか、その、ウィエさんはどういう攻撃の仕方を……?」
「なるほど! 私は主に自分を強化してレイピアで攻撃する、かな。亞くんも武器、選んでみたら?」
「武器、ですか……」
やっぱり武器は必要なのだろうか。彼女のレイピアは実家から持ってきたものなのか、これまでずっと使っていたものなのか、彼女の一部のようにぴったりと馴染んでいる。
「私も初めは全然できませんでしたから。練習すればきっとできるようになりますよ」
「……ありがとうございます。考えてみます」
彼女の清々しいほど明るい笑顔に、つられてほんの少し笑った。じゃあ、といって遠ざかる彼女の足取りをぼんやり眺めながらどうしようもない劣等感を抱く。練習すれば。きっと彼女もたくさん練習したのだろう。彼女はそれをするだけの勇気、根気がある。僕には……ない。
「……いいなぁ」
どうして自分はこうなってしまったのか。その答えは自分で出せるわけがなかった。
結局倒す魔物は不思議な林檎のような魔物にした。弱体化した息を吹きかけた途端に「あぁ……」と切なげな声をあげてただの林檎に戻ったそれはなかなか後味が悪かったが、美味しく食べられそうだ。
ウィエさん
( @mr_ea_tk )お借りしてます