突如降りかかってきた水の球と金属片をすんでのところで避ける。振り返ればそこには同じ色の制服を着た二人組がやってしまった、といった顔で苦笑いしていた。
「ちょっと! 狙う相手考えなさいよバカ!」
代わりに炎でも飛ばしてやろうかと思ったが、それはそれで魔力の無駄遣いのような気がして手のひらまで出かかっていた炎を押し込んだ。
「わ、ごめんね[D:12316]」
「へへ、悪いなー!」
ほのぼのと笑う二人の周辺からは広範囲に魔法が展開されている。上手ではあるのだろう。おそらくは年下、下級生だろうが。
一人は栗色の短髪の女子生徒……に見えたが、低いところで一つにくくっているようだ。彼女が動くたびに尻尾のように長い一つ結びが左右に揺れる。瞳は光を通したエメラルドを思い出す。右手に持った杖の先から次々に水の塊が生まれている。先ほど僕にあたりかけたものもこれだろう。その攻撃の矢先を見れば、確かにほとんどの攻撃が生徒に当たっている。……その中に味方の姿も見えるが、もはや気にしていないようだ。
もう一人は橙の髪にグリーンイエローの瞳を持ったいかにも少年、という風貌の男子生徒だ。独特な金属片を次々に生成しては飛ばし、当てては回収……を繰り返している。やはりその魔法の扱いは巧みだ。敵に命中すればいたずらっぽくにひひ、と笑う彼はだいぶ幼く見える。背後にはうっすらと妖精の羽のようなものが見えた。そういう種族なのかもしれない。
「お前も一緒にアッカにいたずらしようぜ!」
「……だったらちょっとやってみたいことあるんだけど」
ここにいるのは金属性、水属性、火属性。二人の魔力と素質はかなり高いはずだから、きっとこの方法も可能だろう。
ごにょごにょと作戦を説明すると、二人はニヤッと笑って快諾した。面白そう! と笑う二人はすっかりいたずらっ子の表情だ。
「そういえば二人とも名前は?」
「私はリリー。リリー=ヴァイセンボルン」
「俺はアリリオ!」
「そ、僕は茉紘。じゃ、アリリオ、リリー。作戦通り、行くよ?」
頷いた二人に合わせて炎を生成した。僕の素質が足りるか不安になるような作戦ではあるが、なんとかなると思いたい。
まずはアリリオの金属がアッカ生の方へ飛ぶ。気づいたアッカ生はそれを弾いたり避けたり、するだろう。個体ならばそれはあたることなくスルーしてしまうが、液体にすればそうはいかない。僕の炎を金属の溶ける温度で追随させ、その生徒の上空で金属を溶かした。滴り落ちる超温度の金属に熱いと暴れまわる生徒をなおのことアリリオは追随し、体の一部に貼り付けた。
「リリー!」
「は[D:12316]い」
リリーの杖から放たれた水は、アッカ生の一部に貼り付けられた液状の金属へと向かっていく。向かわせる間にリリーはその温度を下げ、金属を急激に冷やして固めていった。
これが作戦である。アリリオの金属で陽動し、気を取られている間に炎を近づけて金属を溶かす。その後体のどこかを封印するために液状の金属を貼り付け、リリーの温度の低い水魔法で急激に冷やして固める。
「やーい! 引っかかったー!」
「あはは、ごめんね[D:12316]」
にこやかに、しかし次々とアッカ生の一部分を封印していく彼らは可愛らしい顔をしているのにどこか悪魔のような風貌を持っていた。ちょっとずつ、否、きっとすでに楽しくなっていた僕もまた、もしかしたらそうなっていたのかもしれない。
修練棟 16時の部
アリリオくん(@b0v0a)、リリーちゃん(@retaaaaaaaaaaan)お借りしました!時系列で問題ありましたらパラレルということでお願いします!