邂逅

6.0 割れる空からの声
煤竹



「臭いがすんなァ」
 なに?
「バケモノの臭いだ」
 学園のなかをふわふわ、ふわふわと移動していく。空が割れてから、現れた魔物たちと何度か一緒に遊びながら学園の中を適当に散歩していた。突如現れた二匹の竜が気にならないわけではないものの、僕に直接的な関係はないとアクズミがいうからそうなんだろう。
 アクズミの言葉を適当に聞き流しながらあたりを警戒した。音が聞こえる。誰かがいる。誰かが何かと戦っている。
「どうする、煤竹」
「う」
 もちろん、と答えた。そうしない理由はどこにもない。

 音をたどってそこまで行く。開けた場所で対峙していたのは、人形のような二対の魔物と一人の生徒だった。。魔力の濃度からして消耗が激しい。一人で二匹を相手取るのは厳しいのだろうか。集中しているようで彼女は僕に気づいていない。
 白い魔物が陽動に動く。氷が生まれ、その切先が生徒に向かった。避けようとした彼女の方向には黒い魔物。
「大丈夫かァ」
 アクズミののらりくらりとした声とともに、僕の炎が氷を溶かした。煙があたりに漂い、視界を悪くして行く。その生徒はとっさに後ろを振り返り、僕たちを見て驚きの表情を見せた。
「よそ見してんじゃねえ、って煤竹が」
「うー!」
 そんなこと言ってない、と伝えようにも僕の口は動かない。彼女は姿の見えない声の主を探すように、僕と空中を何度も見比べていた。
「あなたは……」
「こっちは煤竹。俺っちはアクズミだ。とりあえずお前さんは下がってなァ」
 俺、の指す対象がどこにいるのかわからない、というような顔をしながら彼女はおずおずと口を開いた。
「エトシュ、エトシュ・アルマンド……あなた、いえ、あなたたちはもしかして」
「ごちゃごちゃ言ってんなまろ眉! 敵がくるぞ」
「まっ……まろ眉って……!」
 アクズミにコラ、と叱責をいれながら炎を出現させた。僕の体から煙が溢れ出ていく。魂が燃えていく匂い。目の前の敵を己の力で殺せる喜びに溢れる匂い。
「うう!」
 楽しい! と叫んだ。僕の炎に飲まれる魔物を見ているのは楽しい。エトシュと言っていた少女がいることも、すこし、頭の片隅に追いやられてしまっていた。

エトシュちゃん(@Az_zA8)共闘1
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